おはようございます。
最近雨が多いなー、と思っていたら、そりゃ六月・梅雨近いんだから当たり前だろ、と一人でツッコんで自己完結した鈴木雅也です。


今回は読書感想文です。
いやー、読書感想文なんて何年ぶりに書きますでしょうか? 小学校低学年以来になると思います。読書感想文なんて小学校くらいにしか書く機会ありませんよね。
余談ですが、私夏休みの宿題の読書感想文は最終日にあらすじだけ読んでで書いていました(笑)今思うと勿体無いことしてるなー、と苦笑い。






「猫を抱いて象と泳ぐ」小川 洋子 著


“盤下の詩人”リトル・アリョーヒンとして謳われるようになるチェス指しの少年のお話。

まず、読んだ感想として、面白かったです。オススメできます。

なんて言えば良いのでしょうか。
この本、すごく静かなんです。
冒頭、主人公の少年離れした考え方から始まるのですが、それが力強い言葉で書かれていて、でもそれが当たり前というように波風一つ立たない静けさを持ってそこにあるんです。その静けさは段々と、嵐の前の静けさとでもいうように大きくなっていきます。
全編通してその静けさを保ったままだから、途中にある当たり前の出来事・予測できた事柄が鮮明に、強烈に印象を残す。小石を投げ込まれ広がる波紋がどんなに衝撃のないものでも、その波紋に恐怖してしまう。
決してホラーとかスプラッタなものではありません。なのに読んでいて怖いと思えたのです。
そして、迎える結末。
不意打ち–−–−いや、来ると予測できたはずなのに、迎えると衝撃を隠せない結末に息を呑んでいました。

読んで思い出したのが、ハムレット。
恐怖と憐憫、それによる感情のカタルシス。うまく嵌められた気がしました。

ここまで怖いとしか書いてきたので、怖い作品なのかなと思われたかもしれませんが、そんなことはありません。至るところに散りばめられた宝石のように綺麗な言葉があったり、登場人物も柔らかい印象を受け、愛らしい。
あの静けさは海底の様相なのかもしれません。

ここで記した言葉は、この作品の魅力を伝えるのには全然足りないと思います。
それでも素敵な作品なので、興味を持たれましたら、是非手に取って読んでみてください。


それでは、今回はここらで……。