夜空の月や星をモチーフにした短編集。喪失を経験し、悲しみ、寂しさをかかえた主人公たちのお話。
5編のうち2編はコロナもテーマになっています。在宅勤務で人とのつながりがたたれていた時期の自分の息苦しさを思い出したり。。。
静かで悲しみをたたえてはいるものの、どこか温かさを感じる短編集でした。
最後の「星の随に」では、父の再婚相手との微妙な関係に傷ついていた少年が主人公。東京大空襲を経験したという同じマンションのお婆さんが少年の心を支えてくれました。寂しくても、悲しくても、人はきっと一人じゃないんだなー。
少年が最後に、新しいお母さんも、本当のお母さんも、お父さんも赤ちゃんもみんなが好きだと父親に言った場面、ぶわっと涙が噴き出しました。