老人過剰国・日本で現役世代を守る高齢者医療費負担増を提言した音喜多駿の勇気を少し評価 | 成田雅美のBLOG

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老人過剰国・日本で現役世代を守る高齢者医療費負担増を提言した音喜多駿の勇気をほんのり評価

今まで私は「日本は人口過剰である」と、当ブログで何度も書いてきました。

日本の問題は、少子化ではなく、人口過剰、正確に言うと、老人の人口過剰です。女性と若者が活躍できない原因も、そこにある。

成田某の「老害は集団自決するべき」発言は、現役世代が多かれ少なかれ思っていることの、過激で攻撃的な、よろしくない表現でしょう。

膨れ上がる老人医療費を、現役世代に社会保険料として負担させるのは、止めて頂きたい。

自民党も、立憲民主党も、老人票を失うことを恐れて、高齢者の医療費負担増について何も言わない点では、同じ穴のムジナ。

維新は全く支持していませんし、音喜多駿の主張が全て正しいとは思いませんが、この提言の勇気は、それなりに評価されても良いのではないでしょうか。

個人的には、この問題に限らず、選択的夫婦別姓など、時代状況の変化に対応した政策を実行できる政党、政治家を支持したいです。

 

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音喜多駿インタビュー

高齢者からの反発に怯まず医療費一律3割負担を提言した真意
実話BUNKAオンライン 2024.05.02


日本維新の会が、高齢者の医療費の窓口負担を現役世代と同じく原則3割にすべきとする医療制度改革案を発表した。

 

選挙で逆風が吹きかねないこの提言をしたのはなぜか。日本維新の会の音喜多駿氏にノンフィクション作家の西牟田靖氏が真意を尋ねた。

批判にさらされる音喜多駿政調会長を直撃

日本維新の会の音喜多駿政調会長(40)が矢面に立たされている。

3月5日の記者会見で音喜多氏が医療制度改革に関する提言を発表、「世代間の公平性と医療制度の持続可能性の観点から、高齢者の医療費の窓口負担を原則3割にすべきだ」と主張したためだ。

選挙に差し障る可能性から党内でも非難されたり、SNSで非難が相次いだりしている。こうなることはわかっていたのではないか。なのになぜ今回あえてはっきりと高齢者の医療費の窓口負担増を明言したのか。音喜多氏に真意を聞いた。

高齢者医療費無償は70年代の間違ったバラマキ政策

 

――そもそも何が問題なんでしょうか?

音喜多(以下、音)医療費負担が年間45兆円以上まで膨れ上がっていてその皺寄せが、現役世代の社会保険からの高額な天引きという形に表れ、彼らを苦しめています。現在の医療制度はもはや持続可能なものではない。そのことに強い危機感を抱いていました。

――現在、社会保険料による負担が重くなってしまったわけですけど、これはいつからのことなんですか?

音 昭和36年(1961年)国民皆保険制度が開始したとき、窓口5割負担で始まっているんですよ。それが調整されて一律3割負担ということで制度が安定して運用されていました。

 

間違いが起きたのが1970年代。「福祉元年」ということで当時の政治家が間違ったバラマキ政策を始めて、「高齢者医療費を無償にします」となってしまったわけですよ。

 

その頃はまだ高齢化率がたった7%で、男性は60代後半ぐらいが平均寿命だった時期ですから、高齢者の医療費を無料にしてもまだ通用しましたし、それなりの財政が保持できたのかもしれません。

――でも今は高齢化率3割、平均寿命が男女ともに80代ですよね。なのに高齢者の医療費が1割。

音 維持することがもはやできないんです。だからこそ、70年代の高度経済成長期に始めた間違ったバラマキを元に戻そうと言っているんです。何か切り捨てをやろうと言っているわけではまったくありません。

――そもそも、この改革案は音喜多議員の意見が反映されて出てきたものなんですか?

音 政務調査会長として私が責任を持ってやってきた。そのことは確かです。だけど別にトップダウンでやったわけではありません。

 

厚生労働部会や医療制度改革タスクフォースといった特別チームを立ち上げ、猪瀬直樹さんのような制度改定の取材をしてきた国会議員や現役医師の方々、厚労省のOBまで、彼らの意見を集めて今回の結論を出しました。

批判や選挙を恐れず問題提起する政党や政治家が必要

 

――窓口負担1割で済んでいたのが3割となると、高齢者からしたらたまったものじゃないですよね。それに高齢者と同居している子どもからすると迷惑がられたりして、批判が相次ぐ。改革案発表前からそのことが予想できたのでは?

音 ご批判は覚悟していました。しかし誰かが大きな議論を巻き起こし、改革を加速させていかねばなりません。

 

窓口負担の見直しは、政府が出している歳出改革の工程表のメニューにも入っています。ただ、これがいつになるかわからない。こんな状況ですから、批判を恐れず、選挙を恐れず問題提起をする政党や政治家がこの国には必要なんです。

――高齢者を中心とする批判や不安の声にどう向き合っていくつもりですか?

音 我々は別に一方的に窓口負担を見直そうとか高額医療費制度をなくそうとかと言っているわけではなくて、「低所得者等医療費還付制度」を設けて当然本当に困った人は救済していこうとか、そうした制度設計をやっています。

 

批判に応える形で丁寧に私たちの考え方を説明したり、制度の必要性をしっかり伝えたいと思っています。

1割負担の現状がおかしいと言う高齢者もいる

 

――とはいえ高齢者の方々からの反対の声が大きそうですが、どのように理解を求めますか?

音 街頭(演説)をやっていてこんなふうに声をかけられました。「大賛成。整形外科に行ったら高齢者ばかりで俺でも嫌になる。3割払わせてほしいのに1割しか払えない。これっておかしいんじゃないか」と。

 

この方(75歳)のように高齢者でも1~2割の方々は賛成してくださっている。こうした方々をしっかりと味方につけ、さらにほかの方たちにもしっかり理解いただきたきたいと思っています。

――「若造が何を言っている」と言われ、反感を買いませんか?

音 おっしゃる通りです。ですので、賛成する高齢者の方にこそ発信をしていただきたい。こうしたことを発信してくださる味方を作っていけるかどうかが、これからの鍵になると思います。

――「老人の医療費負担を増やしたら痛い目を見るのはその老人の面倒を見なければならない現役世代自身だ」とか「自分たちが老人になったときに自分で自分の首を絞めることになる」という批判が、賛成している人たちに向いている気がします。それについては?

音 高齢者と同居していて同一の家計を持っている方ならば、高齢者3割負担になることで家計の負担が増えます。しかしすべての方がそうではありません。

 

まず若い世帯全体の可処分所得を増やしていく、社会保険料負担を下げていくということが喫緊に必要だと思います。そうした優先順位を高齢者の方にもしっかりとお伝えしていくことが重要だと思います。

(中略)

大阪が地盤ではないからこそ反発のある政策を言えた

 

――維新の会は大阪以外はまだまだ基盤が脆弱ですよね。とすると、党内の中で高齢者の医療費に関する改革案については慎重論があったのでは?

音 おっしゃる通りです。「3割窓口負担への見直しをいきなり主張したら高齢者の方々の反発があまりにも強いんじゃないか」とか「大胆な政策を打ち出すのはどうなんだ」「(選挙で)戦い切る体力はあるのか」といった意見がありました。

――音喜多議員は維新の会の中でも若手、しかも地盤が大阪ではない。そうした不利な立場ですから、発言したり、積極的に意見をまとめたりするのは勇気がいるのではないですか?

音 逆に「大阪の議員だから言えるんだ」とか、「大阪の人間が強引にまとめにきた」といって反発するという場合もあって、ケースバイケースです。

 

私のような選挙が厳しい東京に地盤を置く、いわば外様が「冷静に日本全体のことを考えてやっぱり医療制度改革が必要だし、維新として打ち出すべきじゃないか」と言うからこそ納得するという面もあるんです。

――そんな中、よくまとめましたね。

音 党内で丁寧に議論を重ねた結果、ニュートラルにまとめることができたと思っています。

 

「現役世代を徹底重視し、未来のために投資をしていく、批判を恐れず選挙を恐れず、やるべきことをやる――というのが党是じゃないか」ということで最後はこの案にまとまっていきました。

 

3割負担により高齢者の行動変容を促す狙い


――もうひとつ気になったのは医療業界の反対です。1割から3割負担にすることで、クリニックに通う高齢者が激減し、開業医からすると収入の大幅減になりかねないということで猛烈な反対が予想されました。それでも発言したのははなぜでしょう。

音 「1割だったら毎週毎日に行くけど、3割負担だったら2週間に1回、1カ月に1回にしておこうか」といった行動変容。これを起こして医療費歳出を圧縮していく、適正化していくということが、私たちの医療制度改革案の狙いの一つです。

――その開業医の団体といえば日本医師会ですが、そこから反対声明が出ていたりするんでしょうか?

音 公式声明が出ているかは承知していません。しかし当然、極めて慎重なスタンスであることは予想がつきます。そうした業界団体との軋轢みたいなものを乗り越えて、いかにこの政策を実現していくか、極めて大きな今後の課題になってくだろうと思いますね。

――行動変容を起こした場合、実際に日本人の寿命が短くなったり、健康を害したりはしないんでしょうか?

音 海外の調査ではありますが、頻回受診する方と無保険でなかなか来ない方の間に有意に健康の差が認められなかったという、アメリカのオレゴン州のデータ(※)が出ています。

 

また、国民皆保険の国とそうでない国とで平均寿命に明確な差があるわけでもありません。平均寿命と手厚い医療費補助は無関係ということが証明されつつあります。ですから頻回受診が減ったからすぐさま何か健康に影響があるとは言い切れないと思います。

※2010年、米オレゴン州で行われた「公的医療保険の効果を検証した実験」で、身体面の健康増進効果が見られなかったという結果が出た。

(中略)


バラマキをやめて現役世代の手取りを増やす


――医療制度改革もそうですが、無駄なバラマキをやめて大事なところにお金を突っ込むというのが維新の会の一番の特徴ですよね。なのにそのように認識されていない現状があります。

音 今回の批判の一つに、窓口負担を一律3割にしてできた財源を別のバラマキに使うだろうというものがあるんですよ。

 

政府は、こども家庭庁などを作って、効果があるかどうかわからないバラマキ政策をいろいろやろうとしていますけども、そういうことに追随するために窓口負担を増やせといっているのではないんです。

 

若い世代、現役世代の可処分所得・手取りを増やしたいんです。それが最大の少子化対策だと思っています。

 

社会保険料が高すぎる状況は、今の若者の困難、子供も持てないような経済状態を作り出している。ここを引き下げることがまず重要です。何より少子化対策としても有効ということを申し上げています。

――医療のバラマキに対して批判しているのに、維新が党をあげて大阪万博を推進しているのはおかしいという批判については?

音 コストが別次元なんです。万博が2000~3000億円なのに対し医療制度は後期高齢者医療が18兆円、全体で45兆円。万博をやめて医療に使えという話ではまったくありません。

 

それに医療が社会保障なのに対し、万博は投資。投資対効果が高いものだからこそ投資をするという決断をしているわけです。その点を丁寧に説明していくしかないと思っています。

(後略)

取材・構成/西牟田靖
撮影/武馬怜子
初出/実話BUNKA超タブー5月号

 

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