イーロン・マスク母、メイ・マスクが日本女性にメッセージ「暴力からは逃げていい」 | 成田雅美のBLOG

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イーロン・マスク母、メイ・マスクが日本の女性たちにメッセージ「暴力からは逃げていい」「挑戦する前に諦めないで」

私自身は、長年のパートナーがいますが、改姓が嫌で結婚はせず、子どもは欲しくなく作らなかったので、幸いにして離婚と子どもをめぐるトラブルとは無縁です。

 

現在、DV被害と子連れ離婚で、大変な苦労をしている女性たちが、日本にも沢山いるとのこと。

実業家イーロン・マスクの母であり、栄養士、モデルとして、70代の今も活躍しているメイ・マスクは、世界的ベストセラーになった自伝で、元夫からのDV被害と子連れ離婚について記しています。

 

また、雑誌VOGUE JAPANで、日本の女性たちを励ますメッセージを伝えています。抜粋して紹介します。

ただ、メイの元夫=イーロンの父親は、最低最悪のDV男ですが、彼女は離婚後、父親と子どもたちが、週末や休暇に旅行に行くことは認めていたそうです。子どもたちから、そういう経験を奪いたくなかったとのこと。参考になれば幸いです。

 

追記:自伝原書タイトルは "A Woman Makes a Plan"「ある女性が計画を立てる」。序章は "Live Dangerously - Carefully" "Make a plan, and take a chance"「大胆に、注意深く生きよう」「計画を立てよう、そして、チャンスをつかもう」という言葉で始まっています。

 

つまり、苦境を抜け出したり、仕事で成功するためには、大胆な行動力と、緻密な計画が必要だと、著者は強調しているわけですが、日本語版タイトルだと、それが全く伝わらないのが残念です。ちなみに、中国語版タイトルは『人生由我』「人生は自分次第」。


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「最初は抵抗に遭うかもしれない。でも挑戦する前に諦めないで」──メイ・マスクから女性たちへのメッセージ

BY RENGE JIBU VOGUE JAPAN 2020年7月29日

70代を超えて現役モデルとして活躍するメイ・マスクは修士号を持つ栄養士で、食生活コンサルタントとして長年仕事を続けてきた。美と栄養、異なる2つの専門性を持ち、シングルマザーとして3人の子どもを育てた経験を持つ。

長男はテスラ創業者のイーロン、次男のキンバルは産地直送野菜を使ったレストランを経営しつつアメリカの学校で農業について教えている。長女のトスカは芸能関係の企業を経営し、映画のプロデュースや監督として活躍する。

自伝『72歳、今日が人生最高の日』(集英社)の出版を機に、メイがインタビューに応えた。

──栄養士とモデルという2つのキャリアを20代から続けてきました。ご自身の中で2つの仕事をどう位置付けていますか?

もともと、高校生の時に理系科目が得意であることを生かして専攻を決めたのが、栄養士になったきっかけです。子育てしながら学び続けて大学院に通い、今も学び続けています。

栄養士の資格を取り、食生活コンサルタントとして開業しました。仕事をする時は、人を助けられるのが嬉しいと感じています。体調不良を薬で治すだけでなく、食生活を見直すことで健康になれるからです。

また、10代の頃からモデルの仕事をしています。きっかけは両親の友人がモデル学校を経営していたことでした。当初は、この仕事をこんなに長く続けるとは予想していませんでした。

モデルの仕事は単に見た目を飾るだけではなく、色んな人に希望を与えられるところが好きです。私が70代でモデルをすることで「何歳になっても挑戦はできる」と多くの人々、とりわけ、女性に伝えられるのが嬉しいです。

2つの仕事に共通しているのは、人を勇気づけることだと思います。とりわけ、私は、女性をエンパワーしたいのです。

──南アフリカ、カナダ、アメリカと移り住みながら、新しい街で仕事を開拓する行動力をお持ちです。

引っ越して新しい街へ行ったら、誰も自分を知る人がいませんから、顧客開拓をする必要があります。私は患者の中で食生活を改善することで体調が良くなりそうな人を医師から紹介してもらいます。

例えば、医師100人に手紙を書いたら、そのうち20人が返事をくれて、面会できます。面会した20人の医師のうち、4~5人が患者を紹介してくれるといった具合です。

新しいことに挑戦すると、必ず抵抗に遭いますが、それを恐れないことが大切です。モデル業についても同様で、私は自分で自分の写真をファイルしたポートフォリオを持って営業をしました。

多くの人が、モデルは若い人しかできないと思っていた時代でしたが、あきらめずエージェントを訪問したところ、カナダのモデルエージェンシーで花嫁の母親役を探していて、仕事を得ることができました。後に、自分自身がモデルとしてウエディングドレスを着たこともあります。


やってみたいことがあるなら、挑戦してください。挑戦する前に、あきらめてはいけません。

(中略)

──大きな挑戦を恐れない様子から、想像できませんでしたが、メイさんは、DVのサバイバーですね。元夫から受けた恐ろしい暴力のことも書いています。

はい。暴力は新婚当初から始まりました。子どもが3人いましたから、別れるのは簡単ではありませんでした。

当時、南アフリカの法律で、夫の暴力は離婚理由として認められなかったのです。また、法的に離婚が可能になった後も、夫から脅されました。別れたら私と子どもの両方を傷つけてやると。実家と連絡を取らせてもらえないこともありました。

当時は恐ろしくて家族にも言えなかったことを、本で初めて書いたのです。そもそも、このような経験を本に書かない方がいいのではないかと最初は思いましたが、編集者に説得されて打ち明けることにしたのです。

──大変な思いをされたのに、克服され、自立してお子さんたちを育ててすごいと思います。

 

DVは世界共通の問題で、日本でも起きています。私は夫から暴力を振るわれて殺されそうになった友人を連れて一緒に警察へ行ったことがあります。

 

著書を読み、素晴らしいキャリアを持つ幸せそうな女性も、同じ経験をしてサバイブしたと知ったら、勇気づけられる人がたくさんいると思いました。

日本でそんなことがあるなんて、驚きました。日本はとても平和で落ち着いた国だと思っていましたから。

私が女性たちに伝えたいのは、暴力を受けたら逃げていいということです。別れたら生活できないのではと心配している女性は多いと思います。私も同様でした。元夫のもとで裕福な生活を送っていましたから。

でもある時、子どもたちに聞いてみたのです。「夕食は何を食べたい?」って。そうしたら「ピーナツバターサンド」と答えるのを聞いて、これなら別れられると思いました。雨風をしのげる家があればいいって。贅沢は必要ない、幸せであることが大切だと気づきました。

──日本ではジェンダー規範が強く、結婚・出産すると、妻や母としての人生を優先させがちです。既婚女性が自由になれるようなアドバイスはありますか。

大事なのは、それが自分にとって幸せかどうかだと思います。もし妻や母として生きていて幸せなら、それでいい。

 

でも、もし何か物足りないと思うなら、そして少し働いてみたいと思うなら、やってみてほしいです。最初は抵抗に遭うかもしれないけれど、本当にやりたいと思うなら、やってみてほしいですね。

 

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メイ・マスク『72歳、今日が人生最高の日』 、集英社、2020年

Maye Musk "A Woman Makes a Plan: Advice for a Lifetime of Adventure, Beauty, and Success" 2019

(前略)

[元夫は]10年間、子どもたちの親権を求めて裁判を起こしつづけた。わたしは貯金をはたくことになったけれど、1日24時間、彼に耐えるわけではない。

 

裁判も、そのためのあらゆる準備も、子どもたちを失う恐怖があっても、つねにおびえて暮らすよりましだった。 
 

わたしはけっして戻らなかった。どんなに大変でも切り抜けること。そして逃げ出すこと。それだけの価値があるのだから。

 

誰かにおびえたり恐れたりして暮らしているなら、そこから脱出する計画を立てなければならない。不幸な関係にあるなら、別れるために何でもすること。

 

わたしは誰かが変化を起こしてくれることを期待し、状況が変化することを期待して、長く待ちすぎてしまった。でも、自分で変化を起こすまで何も変わらなかった。

(中略)

よい計画には、お金のことなど細かい点まで含まれていることが必要だ。友人や専門家の助けもいるかもしれない。

 

さまざまなストレスに襲われるけれど― 経済的なことや、社会的なことなど― わたしの場合は、夫のせいでわたしを避けていた友人たちがどこからともなく現れた。受け取らなかったけれど、お金の援助を申し出てくれた夫婦までいた。

 

5年計画を立てる必要はない。ずっと先のことばかり考えていたら、最初の一歩が踏み出せない。何よりも重要なのは、抜け出すこと。遠い未来は考えないで。


次の一歩を考えよう。逃げ出す時期が来たら、何よりも大切なのは次々と起こることに圧倒されないこと。計画を立てるときは一歩ずつ。

自分が経験したひどい状況を考えるにつけ、いまではもっと早く逃げ出すべきだったとわかる。けっしてよい状況になく、このままきっと変わらないと気づいたら、その瞬間に逃げ出すことを考える。できるだけ早く。

相手と幸せな関係を築けていないなら、別れることで何を失う?パートナーを変えられないのなら、これまで努力してきたのなら、不幸なまま残りの人生を送ってはだめ。

(後略)

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