この3連休にCDAの更新講習として『クルンボルツ理論を活用したカウンセリング』の勉強に行く。
■ジョン・D・クルンボルツ博士
なので、最近は時間があれば、事前配布されたテキストを読んだり、以前に使った資料等を引っ張り出して復習をしている。
この理論の秀逸なところは、キャリア形成に関して極めて非論理的な「偶然性」という概念を取り込んだことが、これまでにあった理論とは一線を画す。
人がキャリアを形成していく過程に偶発的な出来事があって、それがその人のキャリアを創り上げるのに大きく影響しているということ。
要は、有益な予期せぬ出来事を起こす手段として、検索行動を起こすことが、豊かなキャリア形成のためには大切であるという理論です。
私自身もこれまでの人生を振り返って、「あの時のあの出来事」があったから「現在の自分」があると思うことが非常に多い。
今は繊維業界で働いているが、きっかけは父が繊維業だったからある程度業界を理解していたし、興味があったので何の迷いもなく就活に励んでいた。
今、ゴルフが好きで生活の一部になっているのは、たまたま一緒に飲みに行った会社の先輩から車とゴルフセットを譲り受けた事に始まる。
今、キャリアコンサルタントの資格を持っているのも、仕事で関わった人達が持っていたし、信頼する知人がこの資格を取った影響が大きい。
初めから自分の意志で繊維の会社に行こうとは思わなかったし、ゴルフは学生時代に一度やめてしまっている、この国家資格も5年前にはなかったものだ。
キャリコンの常識としてカウンセリングする際に重要なことは、クライアントに寄り添い、受容・共感・自己一致を意識して丁寧に経験代謝を行う事である。
しかし、それだけでは自己概念に辿り着くことは出来ても、その先にあるクライアントが期待するキャリア形成や満足な私生活に到達することは難しい。
例えば「就活で進路が決まらない」という相談に「決まらなくて悩んでいるんですね?」と関わっても、先に進めるか否かは、結局、本人の学習次第である。
自己分析や企業研究をしていない人にいくら自問自答させても、‟無知”をマイナス強化するだけで、どこにも辿り着けないのは明白である。
つまり次にコンサルタントが行うべき事は、自分の得意な事や、過去にうまく行った事例を聞き出し、具体的な行動を促すようなアプローチが必要です。
得意な事が出来そうな会社、うまく行った経験が活かせそうな業界など、まず行動することでチャンスを引き起こす。(結果を求めず)
当然、行動したからと知ってすぐに望ましい方向に事態が動き出す保証はないし、それほど簡単な話ではない。
それでも、もし何もしなければ何も起きないし、行動すれば何かが起こる、それが失敗経験に終わっても反面教師としての次の機会に活かす学習となる。
この手法は、27年間担当してきた採用の仕事を通じて、具体的な実績を求められる中で、無意識に習得しているということに気付かされた。
先日の障がい者向けの合説で相談員をした際も、結果的にクルンボルツ理論でいう、計画された偶然を起こす行動を促す支援を行った。
例えば、自分には強みがないと思っている人に、楽しかった経験を話してもらうと、その話の中に彼が果たした役割が沢山含まれている。
その部分にフォーカスして彼が行った行動や考え方の中で、私が彼の強みだと感じた部分をフィードバックしてみた。
そして、その内容を履歴書にまとめて採用担当者に長所として聞いてもらったらどうかと助言をすると、表情も晴れやかになり履歴書の作成に取りかかった。
またこれまで営業一本で来た方が、今回の求人は内勤系ばかりで、事務の仕事にやりがいを感じない、という方がいらっしゃった。
自問自答しても経験のないものは分からないだろうと思い、事例として、私の知っている同じ境遇にいて活躍をしている人の話をして感想を求めてみた。
すると「人から感謝される」という点は、営業職でも管理部門でも同じであり、仕事相手が社外から社内に変わっただけだという認知をして表情が変わった。
そして意を得たように、参加企業の採用担当者に各社の具体的な仕事内容を聞いて来るといって、元気よく飛び出していった。
コンサルタントが実際に行動を促し、行動させる環境を整えて初めてクライアントは自分のキャリア形成に積極的になるという事を理解できた。
クルンボルツの理論は、より実用性があり、現代の不確かな時代に有効なカウンセリング理論であるという気がする。
コンサルタントはより多くの実際にあった事実や出来事、経験を積んで、引き出しをたくさん用意しておくと、なお良いと思う。
更新講習ではもっと多くのことを学べると思い、ますます興味が湧いてきて、とても楽しみです^^