お客様から「パンツの尻が破けた!直せる?」という電話。
毎年このような電話が何件もあります。
当社のスーツ(スラックス)だけでは無く、他社のでも同じで、これはこの時期、生地が薄くなる頃に多いです。
しかも、私がこの業界に入った24年前くらいはこんなことはほとんど無く、10年くらい前から多くなったことです。
これにはちゃんとした「理由」があります。
パンツが破ける原因
①生地が薄い
これは当然のことで、生地が薄ければ破れる確率は多くなります。
②お尻という体重がかかる場所
座ったときに身体の重さを一番受けているのはお尻です。
そのお尻の生地が重さと摩擦に耐えなければいけないので生地が劣化しやすくなるのは必然です。
座ったり立ったりする際の摩擦が大きいので、車のシートやデスクチェアには座布団を敷くと良いでしょう。
③パンツのサイズが小さい(ゆとり感が無くなった)
20年ほど前のパンツサイズ感はゆとりがあってお尻と生地にかなりの空間がありました。
ピッタリとお尻の形が出るようなパンツは少なかったはずです。
最近のパンツはピッタリとしすぎてゆとりが無いので、身体の動きに対して余裕が無く生地に無理がかかるような構造になっています。
④股上のサイズが小さい
パンツサイズと共有する理由ですが、股上が小さくなっていることでも身体の動きに対して生地に負荷がかかります。
昔のユトリある時のスーツパンツ股上は27cm~30cmでしたが、最近では。22cm~25cmが主流です。
これでは、しゃがんだときのパンツへの負荷はかなり大きいので危険です。
このような理由が主だと思います。
実際にどのように破けるのか。
基本的に縫い目が裂ける、縫い糸が切れることはありません。
逆に縫いが強いために生地の他の部分に負荷がかかって裂けるように破けることが多いです。
破けるパターンは3パターンです。
赤い線---縫い目を基準としてすぐ横が裂けます。
青い線---赤い線と同じ感覚ですが生地が劣化しやすい場所なのでそこが裂けるようになります。
緑の線---ピスポケットの縫い目が強いのでその横が負荷がかかり破けます。
この場合、どれも修復不可能です。
基本的には生地が裂けているので修復難しいです。
しかし、赤い線の場合はパンツサイズが小さくなりますが裂けた部分を中に入れ込むようにすれば直ります。
緑の線の場合も布を当てた感覚が残りますが直すことは出来ます。
どちらにしても困難な直しなのでお薦めはしませんので、パンツを購入するときのサイズ感と、普段の使い方で注意して頂く事が一番の解決策です。