スーツを仕立てる仕事をしてから既製服はカジュアルしか着る
機会がなくなりました。
仕立てた(オーダー)スーツはやはり既成服とは違い、長い年月
着ていればその違いははっきりと見えてきます。
昔・・・であったらお洒落な人は誰もが洋服屋で仕立てたと思い
ますが、現在では仕立服(オーダースーツ)は「特別な服」と見る
風潮があるのでしょうね。
ここ数年は、オーダースーツの良さや魅力が取り上げられている
感じがあるので嬉しいですが、まだまだ既製服という感覚が多く
仕立服の見直しをしたいですね。
このような思いがある時、故落合正勝氏の本などから得る知識は
本当に役立ちます。
この方がもっとメディアに登場していれば日本のファッション感覚は
古き良き西洋の歴史に負けないものを身につけていたと思います。
その落合氏が著書で「仕立服と既製服の4つの大きな違い」を
説明している。
①仕立服は出来上がるまで目に見えず既成服は最初から見える。
シルエットが用意されていないことと用意されている違いという意味
でこの違いは、自分の身体を優先させるか服を優先させるかという
問題になる。
②仕立服は、素材、柄、形などをすべてゼロから選べるが既成服は
決められた範囲内から選択しなければならない。
③仕立服は手作業(ハンドメイド、マシンメイドで手の数には違いが
あります)で進められるが既成服はセットされた機械の上で流れ作業
により作られる。
④仕立服が自分だけのただ一着の服であるのに対し、既成服は人体
の平均値に基づいたサイズで作られ不特定多数を対象にしている。
ということを書いています。
良い仕立服は長年愛用できる。持ち主の体型が変化しても仕立て直し
(再縫製)することで体型が変化する前と同じような着心地を体感でき
るようになっています。
(あまりにも体型が変化しすぎると駄目ですが・・・)
これも落合氏の本の中からですが、仕立て服の歴史を作った英国の
伝統・・・英国の紳士たちが未だに上質に仕立て上げられたスーツを
長年愛用する。英国の仕立て服の伝統には、使い捨てなどという安易
な発想は存在しない。
とのこと。。。
仕立て服でも、フルハンドやイージーオーダーなど細かい違いはあり
ますが、既成服にはない魅力が大切だと思います。
お洒落な紳士を目指して・・・。