詩「歩行者」 | 新サスケと短歌と詩

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短歌と詩を公開します。

同人詩誌「とらむぺっと」第2号(1967年7月・発行)より、次の作品を載せる。


  歩行者

    新サスケ


歩いて行く

建物の陰から腕が伸びて

前を行く人の首を摑まえると

すばやく引きずりこんだ

建物の陰に回ってみたって

なんにも見あたらない

壁に光が射しているばかり

それにしても

道の両側の建物は

際限なく影を並べている

石を投げつけると

はね返ってきた