同人詩誌「螺旋」第25号(1983年5月・発行)より、こぐま星座さんの次の作品を載せる。
悪い夢の家族
こぐま星座
血まみれのアカ猫が首のない空を飛んで行った
夕焼けの広場では
憂ウツな母親がウロウロしている
息子の花嫁がいないから
窓の外の牛乳ビンが鳴っているから
たぶん 二階の哲学者はイッパツやっているのだろう
借家の壁によりかかって
俺はさっきから眼鏡のタマをふいている
白衣のソクラテスがしょんぼり
黙トウしている 足に赤いマニュキアが塗ってある
性格がムツカシイのだ
神殿の石段のうえに腹ばいになって
いやらしい姉が妊娠したふとんを干している
ズリズリと擦っている
神殿の草刈りを終えた父親は
戦闘帽に目の下まで食われたまま唇から
サルビアの血をながしてのっそりと立っている
小声で唄っている
頭を毒ヘビに咬まれた弟は
頭からヘビをぶらさげたまま
平気で走りまわっている
すぐに終わる夢かも知れない
俺達の意志とは無関係に
父親は すでに
突撃ラッパを吹いている
俺達は玉砕するのだ