「コスモス」1996年12月号より、「木の実」5首 | 新サスケと短歌と詩

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「コスモス」の「その二集」と「あすなろ集」には、2年に何首以上掲載されれば昇級、というはっきりした規定があります。

僕はそれまでの掲載歌数を計算して、12月号に最少の2首が載れば昇級、と楽しみにしていました。

ところが届いた12月号の所定の欄に僕の歌がありません。「これは郵便事故?2年間の努力も水の泡か」と思いました(当時、欠詠が1回でもあると、昇級できませんでした)が、「もしや?」と特選欄を見ると、この5首が載っていました。

僕は正座して見ていたのですが、前のめりに突っ伏してしまいました。


  木の実


庭生りの甘瓜食めばほの甘く歯応へのあり朝の食とす

畑土の温室通路ぬかりしが化粧砂敷き靴の汚れず

茹栗の大ぶり一つ皮むきて渋むきて食むほくほくうまし

渋こそぎ生栗食めばこりこりとたしかに秋の木の実を食めり

間近にも白鷺二羽の佇つなれば車の速度落し見てゆく