新サスケ「わが児」 | 新サスケと短歌と詩

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短歌と詩を公開します。

僕の第1詩集「みだれた足跡」より、次の作品を紹介する。


  わが児

    新サスケ


夕食をすませて コタツにもぐっていると

三歳の児が

「レコード聞こう」

「寒いからいやだよ コタツにはいっていたいの」

押し問答で

児は泣き顔だ


応接間へ行く

(絨毯も応接セットもない)

「何にする?」

「ガンダム」


二人の指を重ねて スプレークリーナーを吹きつけ 拭う

肘かけ椅子にもたれると

「おとうさんに だっこ」

乗ってきて 頭を私の肩に重ねる

頭を抱いて

髪の毛に頬ずりする


二番目の曲は私も好きだ

「ビーム輝くフラッシュ・バックに奴の影

……

この戦場で もがき苦しむ地獄の炎……」


飽いてきた児

でも私に 今言えることはひとつ

「いま いーくつだ?」

(いつも「お父さんのこと 好きか」…「嫌い」)


「みっつ」

「誕生日がきたら?」

「よっつ。もう一回、誕生日が来たら?」

「五つだね」

「いつつ」


「もう とめる」

「ボタンを押してみね」

正しく STOPのボタンを押す


引き上げかける

ちょうど 妻の呼ぶ声

「おかあさん どこ?」と 去ってゆく


私はレコードの後始末