こぐま星座さんの詩集「夜の食(お)す国」より、次の作品を紹介する。
蜈蚣 むかで
こぐま星座
むらはずれのほこらははるのくさにうもれている
よあけをまってあらわれたおばばは
なえかごのなかからかまをとりだし
わたのようにむだかったくさをかっている
かまおとがちいさくひびいて
ゆっくりとじぞうさんがあらわれる
かったくさをかたよせると
おばばはじぞうさんにてをあわせている
すこしひがさしてきたさかみちをおばばは
たんぼのほうへあるいていきなる
かりあとになんかうごいているもんがある
くさにまぎれてきられてしもうたいっけえむかじが
いしのあいだであっちかえりこっちかえり
しきりにもがいている
いっけえむかじは妻やったんやろうか
ちえぇむかじは夫やったんやろうか
妻のゆくえをさがしてるんてにちえぇむかじが
おろおろと
じぞうさんのみみのあたりをはしりまわっている