こぐま星座「白菜」 | 新サスケと短歌と詩

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短歌と詩を公開します。

こぐま星座さんの詩集「なんなはん」より、「白菜」を載せる。


  白菜

    こぐま星座


ちぶてえってちぶてえ冬のかじがふいてきて

ずっとあっちゃの山っちゅう山がうつくそう

白いしゃっぽんかぶったんてになってる

ほの山をひとりずつ

この村で死んだもんらが冬のかじんのって

ぴょんぴょんとびこえてくる


死んだもんらはちええねんねんなってもて

おじじが白菜の葉をむしってて

おばばがそばを干いてるとこへ来て

ぐりっとじゅんばんにのずいてまわる


生きているとき村でゆうめいやったごうけつ笑いで

ぼおはこの子らんなかにかあちゃんがいるんやなってわかる

「わっはっは わっはっは」って笑うてるとこへ

もうえんばあをしるんてにぼおはぱっとふりむく

「おめらおかしいけ なにほんねおかしいんにゃ」


かあちゃんらは きったねえおぞいかっこして

手えつないで顔みあわしている

指をくわえているもんもいる

おめがわるいんじゃおめがわるいんじゃって

つつきおうてる


ぼおはいずかって かあちゃんにきいてみる

「あいにきてくれたんけ ありがとな」

かあちゃんらは自慢そうにむねをはって

くりっとまわるといちれつんなってまた

となりの村のほうへあるきだした


「わっはっは わっはっは」

ねんねのくせに あのごうけつ笑いをのこして

ようみてみるといらちかでつくったでんしゃに

みんなひとかたまりんなって乗っているんやな

みんなが消えていったほうに向こうて

白いいきをはきながら ぼおは思う

もうじき また冬やなあって