「ご自由にお取りください」 | 元気な障害者

元気な障害者

2004年発症。当初はうつ病の診断。転院を繰り返し、発症から10年目で初めて双極性障害という言葉を知りました。休職、復職後、2016年3月に定年退職。2017年7月から障害者枠のパート勤務。
病気のことだけでなく、日々感じたことを書いています。

今年3月に東京地方裁判所でこんな裁判がありました。

 

・ある携帯ショップの店頭に「1人1個」「ご自由にお取りください」と張り紙がある販促物(トランプの大きさの箱に入った洗剤)が置かれていました。

・その携帯ショップの営業開始時刻前にそこを通りかかる女性銀行員が、その販促物を1日1個、11日間にわたって持ち去りました。

・販促物が減っているのを不審に思った携帯ショップ側が監視カメラの映像を確認したところ、この女性銀行員が特定されました。

・銀行側が携帯ショップに謝罪に行ったところ、携帯ショップの店長は激怒しており、本人には「会いたくない」と拒みました。

・事態を重くみた銀行は「販促物の取得は窃盗罪に該当」する、「銀行職員が犯してはならない重大な」違反行為、などとしてこの女性を懲戒解雇しました。

・これに対して女性が訴えを起こしたというものです。

・裁判では女性の行為が「窃盗罪」にあたるかが争点になりました。

・女性は、営業時間前でも通行人が手に取れる場所にあったことなどから、窃盗罪にはあたらないと主張しました。

・これに対して銀行側は、営業時間前に取得するのは携帯ショップの意思に反する、「1人1個」とは「1日1個」ではなく、配布期間中に「1人1個」という意味なので、11日間にわたって持ち去ったのは窃盗である、と主張しました。

・さらに銀行側は、このような行為で預金者の信用を失うと取り付け騒ぎが発生して、金融恐慌が生じる、などとして、「懲戒解雇」という最も重い処分の正当性を主張しました。

・これに対して東京地裁の判決は、営業時間前に持ち帰ったのは窃盗罪にあたるとしました。

・しかし、女性の業務中の行為でないこと、販促物が高価なものではないことから、解雇については「重すぎる」として無効との判決を下しました。

 

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