「東京新聞・こちら特捜部」の記事 | 元気な障害者

元気な障害者

2004年発症。当初はうつ病の診断。転院を繰り返し、発症から10年目で初めて双極性障害という言葉を知りました。休職、復職後、2016年3月に定年退職。2017年7月から障害者枠のパート勤務。
病気のことだけでなく、日々感じたことを書いています。

7月7日付東京新聞の記事。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/261541?rct=tokuhou

 

SNS で盛んに取り上げられているので、ご覧になった方も多いでしょう。

 

精神科病院協会の会長へのインタビュー記事です。

 

身体拘束について、「心は痛まないのか。」との記者の問いかけに対して、

「はあ? 治療の一環で拘束しているわけで、それを全然現場を知らないきみが土足で入ってきて、心痛みませんかって何なの? 失礼だよ」

 

「日本も今後は病院ではなく、地域で見守る態勢に本腰を入れるべき」との記者の考えに対しては、

「地域で見守る? 誰が見てんの? あんた、できんの? きれいごと言って、結局全部他人事なんだよ」

 

昨今、マスコミで取り上げられている滝山病院(東京都八王子市)については、

「滝山への入院は全部他院からの紹介だ。透析患者や難しい案件の患者をなぜ公立病院がやらないんだ。それを言えよ」

 

私はこのような会長の発言に疑問を感じ、憤りや悲しさを感じました。

 

しかし、この記事を「取り上げ」ているSNSのほとんどはこの会長に対してではなく、記事を書いた記者への批判的な意見です。

 

「現場を知らない」「素人」「綺麗ごと」「会長の言うことはもっともだ」「結論ありきの浅はかな記事」などなど。

そして、それに対する数千件の「いいね」。

 

このことについて、私はさらに胸が痛んでいます。

 

この記者に対して批判的な意見を持っている多くの人たち、そして、それを「いいね」と思う数千人の人たちは今のこの国の精神科医療についてどう思っているのでしょう。

「仕方ない」のでしょうか?

身体拘束や長期入院、また、薬漬け医療を「仕方ない」で済ませて良いのでしょうか?

 

この記者がどのくらい「素人」で「浅はか」なのか、私には分かりません。

しかし、「素人」だとしたら、むしろ「素人」や、何も知らない外部の新鮮な目で見た考えや気持ちをこそ大切にすべきではないでしょうか。

 

この記事を読み、そして、それに対する世間の反応を知り、私は日本の精神科医療の問題以上に、外部の人が抱いた新鮮で貴重な考えや気持ちに耳を傾けようとしないこの社会の風潮に恐ろしさを感じています。