19の軌跡 | まさこんの写真雑館

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今年7月26日に起きた

神奈川県相模原市の障がい者施設での殺傷事件。

...

被害者の名前は未だに公表されておらず、

それに対して賛否両論の意見が交わされています。

被害者家族の心情に配慮すべきだ。

今回の被害者だけが名前を公開されないのは

障がい者を区別するものだ。

等々。

一時はマスコミが大きく取り上げたこの事件も

だんだん忘れ去られようとしているのではないでしょうか。

あの事件が残したものは決して忘れてはなりません。

私は重度・最重度とされる知的障害を持つ方々の施設で

ボランティア活動をしています。

犯人は知的障がい者について「意思疎通ができない」と

言っているそうですが、決してそんなことはありません。

むしろ、喜怒哀楽、

そして、自分の欲求を素直に訴える、とても純粋な方々です。

それぞれの方々が生きてきた背景があり、

それぞれの行動に如実に表れています。

私が関わっている日中活動にいらっしゃる方の中に、

この春に高校を卒業したばかりの青年がいます。

私と顔を合わせるといつも「こんどうさ~ん」と

呼びかけてきます。

それに対して、私が返事をし、

今度は私がその方の名前を呼ぶと...恥ずかしそうに下を向いてしまいます。

暫くするとまた「こんどうさ~ん」が始まります。

しかし、その方は決して私に近付いては来ません。

この方をその日中活動から送り出す時も「一緒に帰ろ」と

声をかけると逃げるようにして走って行ってしまいます。

いつも女性職員と手をつないで帰ってゆきます。

この方は幼児期に父親から身体的虐待を受けており、

それが故に男性、特に私のようにこの方の父親に近い男性、

に対する警戒心がとても強いのだそうです。

ある時、ほんの数秒だけ、

私が押している他の方の車椅子の取っ手にこの方が

手を乗せたことがあります。

私は気づかない振りをしていましたが、

またすぐに走って行ってしまいました。

少しずつでも、この方の警戒心を解くお手伝いができたら、

と思いますが、週に1、2回顔を合わせるだけで

そんなことができるかどうか。

私は人の行動の背景には必ず何か理由があると思っています。

無意味な行動はない。

そして、それは障害の有無には関係がありません。

ただ、その表現の仕方が

健常者と少し異なっているかもしれません。

それを理解して差し上げることが、ボランティアとはいえ、

支援者の務めだと思っています。

社会全体がこのような方々の行動を理解するのは

難しいかもしれない。

しかし、少なくとも差別はしないで欲しい。

まして「生きている価値がない」などとは

思わないで欲しい。

それが私の願いです。

決して、この事件を忘れないでください。

今回の事件に対する思いを込めて

歩笑夢(poem)という音楽ユニットがお作りになった

「19の軌跡」という歌を是非お聴きください。

https://www.youtube.com/embed/gX4yurwPyX8