ショパン・コンクール | 平尾雅子 Masako Hirao のブログ

ショパン・コンクール

ここ2,3日、ショパン・コンクール本選を配信で見ました。素晴らしい逸材揃いで、1,2,3次予選そして本選、全部聴いて審査するのはどんなにか大変だったろうと想像します。人によって曲作りも音色も随分違いますが、腕や指の使い方も動画でアップで見れてとても面白かったです。

まったく勝手な感想を言うと、1位になった中国系カナダ人ブルース(シャオユー)リウさんは、華々しい素晴らしい演奏でしたが、私の好みからするとちょっと立派すぎるというか、現代のショパン解釈だなぁと感じました。2位の日本人反田恭平さんももちろん素晴らしかったですが、個人的にはもう1人の2位アレクサンダー・ガジェヴさんの演奏に心打たれました。芳しく様々な音色を持ち、レトリックをしっかり感じました。3位のスペイン人マルティン・ガルシアさんはとても才能のあるピアニストだと思いました。5位のイタリア人レオノーラ・アルメッリーニさんも表情豊かでとっても良かったです。入賞しなかったけど、韓国のイ・ヒョクさんも素敵で、フォルテピアノに向いているのでは…と思いました。それにしても、2位の反田さん、4位の小林愛実さんと日本人が2人も入賞したのはすごいことですね。全ての演奏が同時配信されて日本で聴くことができるとは、大した時代です。


ガンバのコンクールは比べ物にならないくらい小規模ですが、先日審査に携わったばかりでその難しさを体験していたので、今回のショパンコンクールはいつもと違う聴き方で聴けて大変興味深かったです。

若くて才能があり、抜群のテクニックを持つ演奏家がどんどん出てきて、本当に素晴らしいことだと思いますが、ぜひピリオド楽器も触ってみてもらいたい、楽器が教えてくれることって大きいと思うし、また違った一面が見えてくるのではないかと思います。それでも本選で弾いた中で何人かは、当時のショパンを感じさせてくれる演奏があり、心が熱くなる思いでした。


    10月21日記