人間は誰かに幸せにして貰うことも、


自分だけが幸せになることもできないのだろう。


人間にできるのは、


恐らく誰かを幸せにすることだけなのだ。



天佑は勇気に味方する。



さて、W杯フィーバーも醒めつつあるので、備忘録として振り返ってみる。


今大会の全体的な印象としては、あまり面白いとは言えない大会だった。その要因の一つはジャブラニ。このボールの扱いにくさが、戦術眼や展開力を含めた技術差を一定量埋めてしまった。もう一つはブブゼラ。とにかくうるさい。ピッチから伝わる臨場感を削ぐ。まるで数十年前のトヨタカップを観ているかのようで、うんざりした。あとは楽しみにしていた強国が、チームとして成熟されていなかったことか。


優勝したスペインは攻撃的なパスサッカーが賞賛されているが…個人的には、あくまで参加したチームの中では良かった、ぐらいの評価だ。2年前のユーロのチームの方が魅力的だった。トーレスの起用とダブルボランチにこだわり続けたのが最後まで気に入らなかった。そのせいで得点力を落としてしまい、ゲームを支配している割には点が入る感じがしなかった。ユーロではもっと目が離せないチームだったのだ。このチームのゲームはほとんど相手陣内で展開されることになるので、ゴールの雰囲気を漂わせてくれないと退屈してしまう。


オランダはトータルフットボールを捨てて勝ちにいったが、終わってみれば過去とは違って良い記憶を残さない、語り継がれない準優勝だった。しかしスペインがユーロとW杯を連覇したことを考えれば、そして同じことをフランスも成し遂げていることを考えれば、これまで美しさを追求していたから勝てなかった訳ではない。必ずどこかで集中力を切らす、大きな大会を勝つだけのメンタリティがなかっただけのことだ。スペインに敗れたことでそこに気付き、今度は美しく且つ強靭なチームを作って欲しい。


大会前、優勝したスペインを倒せると思っていたのがイングランドとブラジル。


まず最も落胆させられたチームがイングランド。あれだけのメンツが集まりながら攻撃の形が見えなかった。サイドで気を使うようなプレーしかしていなかったジェラードがその象徴だ。フィジカルコンディションの問題ではなかったように思う。


ブラジルは本国では守備的に過ぎると批判を受けまくっていたが、出場しているメンバーの特徴を考えればそんなことはなかったと思う。問題はカカーのコンディションであり、代わりの選手がいなかったことだろう。それにしても、オランダ戦の前半は凄いチームだった。あのブラジルとスペインの戦いを是非観たかったものだ。


下馬評以上に躍動感のあるいいチームで、大会を盛り上げてくれたのがドイツ。そう言えば4年前も同じパターンだったな。スペイン戦で恐怖感をもってしまったのが残念でならない。ところでドイツサッカーとの縁が深い日本だけに、レーブ監督の招聘を検討してはどうだろうか。なんとなく南米の人より日本人には合う気がするのだが。


そのドイツに2大会連続で敗れたのがアルゼンチン。前回の方が断然いいチームだったが、監督がマラドーナでは仕方がない。個の能力をチーム力に結び付けられれば、スペインやブラジルと互角のポテンシャルはあると思うのだが、結局毎回残念なチーム。


ポルトガルもまた監督が無能なチームだった。デコがいればゲームメイクもできたはずだが、果たして本当に故障だったのか。はたまた初戦後の監督批判で外されたのか。


コートジボワールはGLで厳しい組に入ってしまったが、挑戦者の心意気で向かっていってほしかった。自分達の力を出し切ることを第一に思い切ったゲームをすれば、もっといい結果が出たと思うのだが。


イタリアはカッサーノもバロテッリもいない時点で観る気が起きなかった。そして観ないままいなくなってしまった。


フランスはゲーム以前の問題だったようだが、この手の話はいつもアフリカ勢からも聞こえてくる。それから内紛と言えば以前はオランダも定番だった。これらの騒動を起こしているのはほとんど黒人選手だ。思うに、歴史的に黒人が受けてきた差別があるが故に、彼らは自分の扱われ方や権利の主張にナーバスなのではないか。アフリカが頂点に立つ時代は近いと言われて久しいが、それだけのメンタルを持つまでにはまだ時間がかかりそうだ。


こうして振り返ってみると残念なチームばっかりだ。どうりであまり面白くなかった訳だ。せめてもの救いは、日本が2勝もして国中が盛り上がったことか。。。



2010年のW杯はスペインの優勝で幕を閉じた。

バルセロナを破ったインテルがCLを制した今年の流れから、美しさを捨てて勝つことにこだわったオランダが優勝するのはないかと思っていた。相手がどこでも前に出てボールを支配しようとするチームが結果を出したことは、サッカーを愛する者としては嬉しいかぎりだ。


しかし頂点を決める最後の戦いは、予想通り魅力的なものではなかった。一昔前にこの対戦カードを提示されれば、お互いの攻撃サッカーが交錯する素晴らしい時間を想像できたのに。オランダが美しいサッカーを捨てたことはこれまでの試合でわかっていたが、まさかあのような荒っぽい試合をするとは思わなかった。寝ぼけた眼には、ウルグアイが勝ち上がったかと錯覚するほどだった。

試合後にもオランダの選手は主審の判定に抗議してたが、恥を知れという感じだ。4年に1度のW杯の、しかも決勝ということで、主審は本来なら退場者を数名出していたはずのところを、ゲームを壊さないように大目に見てくれていたのは誰の目にも明らかだ。


ドイツに続いてオランダにもガッカリしながら前半を観ていたが、後半にペドロを下げてヘスス・ナバスを入れたところで、妻に「オランダ勝っちゃうかも」と解説した。ナバスの突破は確かにスピードがあり、ファン・ブロンクホルストとのマッチアップは狙い目だが、いくらサイドを崩してもPA内で怖いのがビジャ一人ではオランダも守りやすい。そうなるとこぼれ球を繋げる局面が増えて、オランダのカウンターが決まるだろうと思ったのだ。その後、予想通りロッベンが抜け出す決定機が2度あったのだが、GKとの1対1を2度共決められず。これで試合はわからなくなった。


ブラジル戦でロッベンは、ちょっと当たったぐらいの接触を大袈裟に痛がって転がり回り、メロを苛立たせて退場に追い込んだ。思うに、あの試合では演技がチームの勝利に繋がったが、その不誠実さが決勝戦という舞台で代償を払わせたに違いない。流れとはそういうものだ。


行方のわからなくなったゲームは、シャビ・Aをセスクに替えたことで再びスペインに傾いた。オランダの寿命は主審の延命治療によってPK戦一歩手前まで延びたが、最後はそのセスクからパスを受けたイニエスタのゴールで力尽きた。やはりファン・ペルシーのコンディションは悪過ぎた。優勝するために様々なものを捨てたファン・マルバイク監督が、何も仕事ができない1トップだけは120分使い続けたのは何故だろう。スペインが1ボランチにした延長戦から、スナイデルをボランチに下げてバベルやアフェライを入れれば、広がってきたスペースをフレッシュな攻撃陣がもっと上手く攻められたと思うのだが。


とまあ、つい負けたチームがどうすれば勝ててたか考えてしまうが、スペインが勝つべきゲームだったことは間違いない。大会に参加した全てのチームも納得できるだろう。イニエスタのゴールで、まだ試合が終わっていないにもかかわらずカシージャスが涙ぐんでいるシーンにはグッときたなァ。。。



決勝のカードはオランダ対スペインに決まった。

全勝で決勝に上り詰めたオランダではあるが、2年前のユーロのような派手さはない。まずはバランスありき。試合のペースを握っている感じのしない時間帯でも、スナイデルの決定力で得点を奪い、気が付けば勝っているという印象。有効な攻撃はロッベン頼みのワンパターンに近い。そのロッベン、チェルシー時代までは突破力はあるけどシュートは下手な選手と思っていたが、いつの間にか試合を決める選手になっている。これで怪我をしなくなればバロンドールも狙える存在だ。

オランダの現実主義への路線変更、今回は優勝のために選手も納得しているようだ。仮に初優勝を成し遂げた場合、あくまで美しく戦うことにこだわるクライフは、それでも後輩達の偉業を誇らないのだろうか。

敗れたウルグアイは昨年の日本のようだった。試合開始から激しいプレスでオランダの攻撃を抑えたが、やはりあれでは90分もたないのだろう。それでも2点を返せたのは、PAの外からでもシュートを打ち、しかも枠に飛ばせる能力の違いだ。SBのファン・ブロンクホルストがあんなロングシュートを決めるのはキャリアでも数回のことだろうから、先制点の失い方は不運だった。それにしてもファルランのコンディションは限界だったようだし、スアレスも出場停止では勝つのは難しかった。

ドイツ対スペインは楽しみにしてたのだが、アッという間に引いてしまったドイツを見てガッカリした。クローゼと2列目の囲みでブスケツにパスを集めさせ、そこでボールを奪いにいくのではないかと思ってたが…。パラグアイ戦でミスの多かったシャビ・Aもほとんどノーミスだったし、スペインのボランチのラインに全くプレッシャーをかけられなかった。中盤で狙った形でボールを奪えないから、攻撃も全くダメ。2年前のユーロ決勝の再現のようだった。

イングランドとアルゼンチンから4点ずつ奪い、しかもその主役がミュラーやクローゼだったから問題にならなかったが、ポドルスキーのシュート力が活きていないのはずっと気になっていた。とにかく左サイドから動かないのだ。あれは監督から戦術的な指示が出ていたのだろうか。彼のシュートの強烈さは世界でもトップクラス、今回話題のボール“ジャブラニ”なら余計打たせたかった。特にこの試合ではノッてるミュラーが出場停止で得点力が半減していたのだから、ポドルスキーが頻繁にクローゼの下に顔を出し、ミドルシュートを打てるようなポジションチェンジを入れれば面白かったと思うのだが…。

しかしながら、そもそもそんなシーンも作らせないのがスペインの守備か。バルサもそうだが、このチームのプレスの掛け方、ボールの奪い方の巧さには本当に感心する。相手陣内でパスを回しまくり、ボールを失ってもすぐに奪い返してしまう。結局のところ、パスを回すこととボールを奪うことには、必要な要素が共通しているということだろう。すなわち、ボールの動きを予測する、スペースを使う或いは潰す、この判断力の早さとそれを持っている人間の多さだ。これによってチームは攻守に“連動”する。

そんな素晴らしいスペイン代表チームも、今大会は得点が少ない。この要因はピッチ上にアタッカーが少ないことだろう。2列目にかかせないシャビ・Eとイニエスタはあまり点を取るタイプではなく、これまで起用されてきたトーレスはコンディションの問題を抱えてきた。デル・ボスケ監督がダブルボランチに固執するのは、1ボランチとしてのブスケツの能力に信頼が置けないせいか。なにせ銀河系時代に起用していたのはマケレレだ。物足りないに違いない。

決勝のカードとしては魅力的ではあるが、実際の試合内容はそれほどにはならないようだ。スペインは準決勝と同じメンバーを先発させるだろう。しかしコンディション的に、前回ほどのチームパフォーマンスを維持できないのではないか。オランダはドイツと同じ4-2-3-1だが、前線の4枚はドイツ以上の決定力を持つ。勝敗の行方は、オランダはファン・ペルシーのコンディション、スペインはセスクとシルバの使い方、が鍵となるだろう。ちなみに予言タコのパウルはスペイン、予言インコのマニはオランダを予想している模様。。。



ブラジルが敗退してしまった…。

たしかにスポーツにおいて持てる技術を発揮できるかどうかは相対的な要素が強く、また、コンディションやメンタル面等の要因もある。しかしオランダ戦の前半を観ていたら、まさかあんな負け方をするとは全く想像もしなかった。オランダでさえまるっきり歯が立たないのかと驚嘆していたのに…。

あの一点目の取られ方なら、単なるアンラッキーと気持ちを切り替えられなかったのか。スローで見れば、なるほどロッベンは軽いファールでも全て大袈裟に痛がっていたが、給水の時間ができたとでも考えられなかったのか。或いはヒートアップするF・メロを交代させる手段もあったはずだが…まさかこれほど大切な試合で相手を踏みつけるとは思わないか、監督も。

前半あれほどオランダのプレスをかいくぐった技術は、失点以降全く発揮されなくなってしまった。昨年のコンフェデ決勝では、アメリカに2点を先行されながら逆転で優勝していたのにも拘らず。王国故に、W杯という大舞台が逆にメンタルに悪影響を与えてしまったか。まるでトルコか旧ユーゴを見ているようだった。

カカーのコンディションが良ければまた違っていただろう。恐らく、ボールを引き出して違いを生み出し続け、徐々にプレーでチームを落ち着かせただろう。終わってみれば、コンディションの上がらないカカーをロナウヂーニョに交代できれば、この試合の悪い流れを変えられたかもしれない。カカーを下げても、ちょっとやそっとの選手ではあの大きな流れは変えられないのだ。

アルゼンチンは惨敗だった。メッシはマラドーナにはなれなかった。ペップはメッシのポジションを10m上げてその決定力を引き出したが、マラドーナは元に戻した上にそこからの展開を用意できなかった。今年の親善試合では1対0でアルゼンチンが勝っているが、戦術家で分析力に長けるレーブ監督にとってはいいサンプルに過ぎなかったようだ。

それにしてもドイツはダイナミックで素晴らしいサッカーを展開している。次に対戦するスペインは、2年前のユーロ決勝でまるっきり歯が立たなかった相手だ。しかし今回のスペインは、ここまで不調のトーレスを2トップの一角として先発で起用し続け、中盤の構成も能力発揮を難しくしている。このままの布陣ではドイツの方に分があるだろう。デル・ボスケ監督のインタビューでの変化からトーレスは外しそうだが、2人のシャビを使う4-2-3-1でもダメだろう。二列目の3人、特にシャビ・Eは良く降りてくるが、その時にシャビ・Aが抜けていかないから詰まってしまう。シャビ・Aを外した1アンカーにしてクアトロフゴーネスだかを復活させれば、再びドイツの守備を混乱させることも可能か。セスクと、シルバかペドロか…。但し、それでも2年前のセナとブスケツの違いは、ドイツの付け入る隙になりそうだ。



4年に一度の戦いもいよいよ佳境に入ってくる。大体にして、準々決勝と準決勝にその大会の最も面白い試合があるものだ。

オランダ対ブラジルは、以前ならスペクタクルな試合を楽しめる最高のカードだったはずだ。しかしドゥンガ率いるブラジルはもとより、今大会ではオランダまでもがバランスを重視しており、それ程オープンな試合にはならなそうだ。オランダらしくない試合運びの上1点しか取れていないせいか、ファン・ペルシーはストレスが溜まっているようで、利己的なプレーに走ればブラジルの思う壺だろう。ブラジルの心配は、トップフォームを取り戻せないカカーと中盤の怪我人だろうが、結果はDF力の違いでブラジルが制す。なんせブラジルに夕飯を賭けているし^^

日本に勝ったパラグアイの次の相手はスペイン。もはやプレッシャーもなく思い切ってやれるから、日本戦よりいい戦いをするだろう。スペインは、2人のシャビのボールを受けたい・持ちたい位置がかぶることが多く、ポルトガル戦では左サイドに開いたビジャが左SBのカプテビラを全く使わず、ポゼッションサッカーの機能を落としている。トーレスもスピードがなく、2年前のユーロ優勝時よりはチーム力が落ちている印象だ。それでもここでは負けないだろう。

ウルグアイ対ガーナは予想がつかない。エッシェンの抜けたガーナはGL落ちと思っていたが、セルビア人監督が非常に組織されたチームに仕立てている。CLを制したインテルのメンバーであるムンタリですら、文句を言っても詫びを入れる羽目になっているから驚きだ。統率されたブラックアフリカンというのは不気味さに欠けるが、ここを勝てばこの20年言われてきたアフリカの可能性を証明できる。アフリカ大陸で開催されている大会でもあるし、是非ガーナに勝ってもらいたい。

アルゼンチン対ドイツは、ここまで最も得点数の多い上位2チームの戦い。ゴール前でドキドキするシーンが多くなりそうで、この試合が一番楽しめそうだ。ここまで無得点のメッシが、スペイン戦のロナウドのように無理仕掛けでゴールを狙い続ければドイツの術中に嵌る。逆にマラドーナになれれば勝利に導ける可能性は上がるか。どちらにしても、ドイツのレーブ監督というのは相当な戦術家のようなので、アルゼンチンの個人技を退場者を出さずに食い止められれば、4年前と同じく激闘を制するのはドイツだろう。占いタコのパウルもそう予想しているらしいし^^


日本代表が敗退してしまった。残念だが良く頑張った。起用された選手の現状の能力で考えれば、やはりここまで良くやったと労うしかない。相手は、得点が少ないと代表FWが銃で頭を撃たれるような国で揉まれているのだ。

試合の方は、内容的にはW杯のベスト16にしてはクオリティの低いものだった。簡単なパスやトラップにミスが多かったのは、両チームとも初のベスト8進出がかかり、おまけにどちらから見ても相手は強国ではなく、勝利への色気が逆にナーバスにさせたせいだろう。

前半を観ていて交代させたくなった選手は、何かと曖昧だった駒野とボールを持つと急に弱気になって繋げない阿部、効果的なプレイよりミスの方が多い松井も考えものだった。その駒野がPKに向かったときは、妻とヤバイかも、と手を握り合った。

結果として外してしまった駒野を責める気はないが、その人選には疑問を持つ。ゲーム中の選手起用は色々な考え方があるから結果を論じても仕方ないが、PKの人選に駒野は100%悔いが残る。彼は120分の激闘でほとんど力は残ってなかったはずだし、そもそもあまりいいパフォーマンスではなかった。交代で入った余力のある選手には、正確にボールを蹴れる中村憲剛とチームでもPKキッカーを務める玉田がいたのに…。なにより、外してしまった本人が一番自分を責めるだろうから可哀想だ。

ともあれ総括としては、前回大会で敗因をフィジカルだとしたジーコの言葉の真の意味が、ようやく理解できたのではないかということだ。当時それを、体格が小さいから負けたと解釈した阿呆なマスコミも、もっとトータルな意味だったんだとやっと気付いたことだろう。

特に点を取ることにおいて、W杯のレベルで互角に渡り合うのに必要なものは、Jリーグでは身に付かないことは明白だ。今から4年後を想像するのは早過ぎるが、若手海外組の成長は楽しみだ。次代のエース候補である森本には、アーセナルがオファーを出したらしい。その他のビッグ・クラブも以前から追っているようだし、トップレベルのスカウトから見ても彼にはそれだけのポテンシャルがあるのだろう。本人もマキシ・ロペスとのトラップの差を認識したり、まだまだ伸びる選手に違いない。ブンデス・リーガで香川が通用するようになれば、大久保のポジションは更にスケール・アップする。他に是非海外に出てほしいのが柏木だ。ドイツの新星エジルのような選手。早くJリーグレベルから欧州リーグレベルに上げてほしい。本田もまだまだ上を目指すだろうし、長谷部がシュバインシュタイガーのようなモデルチェンジをすれば、今大会のドイツ代表のようなイメージを持つ攻撃陣ができる。

他にもSB内田のシャルケ移籍が決まっているし、長友も海外挑戦をするだろう。VVVの吉田もこれからだし、今回の結果で日本のマーケットが久々に注目されるはずだから、チャンスを逃さず若手はどんどん本場に武者修行に行くべきだ。

なんか4年後が楽しみになってきたぞ。


あ、あとはいい監督も必要だね。何ヶ月か前に、オシム前監督は私ならこの時期はカウンターの練習をしていると何かのインタビューで答えていた。ここへきて岡田監督の評価は急上昇しているが、違う監督ならベスト8に進出できていたかもしれないのだから。



いよいよ日本代表が決勝トーナメントを戦う。会社でも、普段はサッカーに興味のなさそうな年配者までデンマーク戦をTV観戦していたようで、喫煙室はにわか評論家で溢れている。

6月に入ってからの岡田監督には驚かされた。一つはこの期に及んでチームコンセプトを変更できる勇気、もう一つは本田の1トップ起用だ。


昨年、“ベスト4を目指す”という本気のチーム目標に、今回はGLを突破できそうな気がすると書いた。しかしながら、今年に入ってから東アジア選手権をスタジアム観戦し、調整試合をこなしていくにしたがって、この内容では1勝もできないと諦めた。

ところが当の監督が諦めたのは“世界を驚かすパスサッカー”だけで、勝利を諦めたわけではなかったのだ。大会直前になって守備的に試合に挑むことに方針変更をする。戦い方を180度変えるとなると、当然それに伴って選手起用も変えざるを得ない。


守備的な戦い方をするならば、まず外さなければならないのが、守備力がなく、攻撃時に縦にボールを運べない中村俊輔。そして押し込まれる試合展開を想定すると、トップにはボールを収められる選手が必要となり、すぐに転がされる岡崎もアウトだ。

この戦略変更がもっと前の時期ならばまだいい。というよりも、日本の実力に見合った当然の選択ということになる。だが現地入りしてから直前の決断となると、非常に勇気がいることだと思う。中村俊輔は個人的には好きではないから外してくれて一向に構わないが、岡田監督からしたらエースナンバーである10番を与え、ここまで常に攻撃の中心として信頼を示してきた選手である。チームの中には彼を支持する選手もいるだろうし、そのエースと共に、2年以上に渡って突き詰めてきたチームコンセプトを変えることは、これまでのチームの軌跡を否定することにも成りかねない。下手をすれば、フランスやカメルーンのようにチームが崩壊する恐れもあったはず
だ。恐らく、高飛車なフランス人監督達とは違い、岡田監督は腹を割ってメンバーと話をしたのだろう。

そしてぶっつけ本番での本田1トップ。押し込まれる試合展開を想定することになれば、メンバー中、最もポストプレーが出来そうなFWで、普段から弱小クラブで戦うことに慣れている森本を起用してくると思っていた。確かに本田は攻撃陣の中では最もフィジカルが強く、得点力がある。だがW杯という舞台でトップをやったことのない選手を使うとは…。守備重視で戦うと決めれば、1トップに誰を置くかは戦術上の最後のピースになるから、一か八かで賭けられたのだろうか。何にしても大胆だ。

グループ内での対戦順も良かった。

初戦のカメルーンは内紛のせいかフワフワと組織的でなく、エトーをサイドで使ってくれたり、本田のトラップミスがゴールに繋がる幸運もあり、ともかく勝利を得られた。

次のオランダ戦は完璧な敗戦だったが、守備面では一定の自信になったのだろう。攻撃面でも時折松井と大久保の鋭い突破が観られたし、本田は全くFWの仕事をできなかったが、この試合の反省で、監督からよりシンプルな役割を与えられたはずだ。

迎えた第3戦、GL突破を争う相手はデンマーク。守る相手を崩す創造力は持ち合わせていない。試合開始当初は何度もトマソンをフリーにしてこりゃやられると思ったが、このグループでは最も決定力がない相手で助かった。しっかり守って果敢に攻め、GL2勝1敗という素晴らしい結果を残した。

日本代表は良い流れに乗っている。パラグアイはGLでのカメルーンやデンマークより強い相手だと思うが、良く頑張ったよと言ってあげたくなるような試合をしてほしい。


イングランドに期待していた身としては、全くもってガッカリさせられる試合内容だった。


プレミア・リーグと言えば、スピードとパワー、ダイナミックな躍動感。そこにカペッロの規律と現実主義的な戦術が加われば、横綱相撲で優勝争いにまでからんでくると思っていたが…。

イングランドの試合を観たのはGLの最終戦からだが、セントラルMFのジェラードを左サイドで使ったり、能力的に足りていないミルナーやアップソン、怪我明けでパッとしないバリーの重用と、どうもミスキャストがチーム力を殺いでいたように見える。

世界でも屈指の点取り屋であるCFがいて、
世界でも屈指の得点力を持つセントラルMFが2人いて、
世界でも屈指の守備力を誇るCBがいて、
世界でも屈指のスピードがあるSBが両サイドにいる。

これだけのタレントを有するが故に、ごく堅実な試合さえさせれば、どこかで誰かが違いを出してくれるだろうという監督の見込み違いだろうか。それが証拠に、イングランドには相手の守備陣形を崩す意図的なコンビネーションが全くなかった。イングランドというチームは、個々のタレントを発揮させようとする組織ではなかったのだ。

中盤が正確なフィードでサイドを替え、両SBが相手DFを引きずり出し、ルーニーは常にゴールの脅威を与え続け、それを凌いでもジェラードやランパードが襲い掛かる。そんな圧倒的な攻撃力を期待していたのに。だから決勝のカードはブラジル対イングランドに賭けていたのに…。


怒りを覚える程の失望だ。