熱狂の隙間で。 | 食べて飲んだら今日も楽しい

食べて飲んだら今日も楽しい

小さい時の夢はコックさんだった、美味しい賄いが食べ放題だと思っていたからだけど。

ピアノのレッスンを終え、横浜の街を歩く。

もう10月なのに長袖のシャツ1枚で寒くない。
喧騒から逃げるように、早歩きで歩く。
 
川沿いを歩き大通りに出て交差点を渡る。
渡った先には小さな公園がある。
 
その小さな公園ではお笑いのネタ合わせをしている2人組がいる。
頑張れ!と心の中で応援しながら、100メートル先にある居酒屋さんに向かう。

目的のお店に到着して扉を開けると、マスターがいつもの笑顔で迎えてくれる。
 
ビールを頼んで買ってきた本を開いたら
最初の一行目に
『あなたはゴリラですか?』
と質問される。
たぶん人間です。と、答えを出した。

お店のテレビではラグビー日本代表の試合がやっている
ラグビーは高校生の時に授業でやったことがある程度で、前にボールを落としてはいけないってことしか知らない。
ほぼ知識がないけど、目が話せない。
 
結果、日本代表は負けてしまった。
お疲れ様と心の中で呟いてビールの残りを飲み干す。
 
自分は一体なんの為に生まれてきたんだろう?
 いきなりそんなことが頭を過る。

結果、負けてしまってもチャレンジをして戦った人達と自分は何が違うのだろうか?

あの、ラグビーを授業でやっていた時の僕と
いま、こうしてビールを飲みながら誰かの努力の結果を見ている僕の違いは何なのか?

チャレンジし続ける勇気と失う勇気だな。
日本代表が負けた悔しさとは、違う悔しさが襲ってくる。

だけど、猫はそんな事を考えて生きてないな
と思ったらどうでも良くなってきた。
 
目の前にあるお酒とおつまみが美味しくて
笑顔のマスターがいるから目の前に集中する事にした。

まだ公園で、お笑い芸人さんは練習しているのだろうか?

そんな事を考えながら読みかけの本に目を落とす。