【福島】川内村・遠藤村長に聞く 帰村宣言1年課題と展望 | MEMO

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~2013年2月までの収集記事置き場。

川内村・遠藤村長に聞く 帰村宣言1年課題と展望

 福島第1原発事故で全村避難した福島県川内村が村民に帰還を促す「帰村宣言」を出して31日で1年がたつ。週の半分以上を村で過ごす「帰村者」は現在1200人で、全村民3000人の4割。「戻れる人から戻ろう」と呼び掛けた遠藤雄幸村長に課題と展望を聞いた。(聞き手は福島総局・中島剛)

<1200人は想定以上>

 -帰村宣言をどう振り返るか。
 「宣言が正解だったのかどうかまだ分からない。それだけ混迷の中を手探りで進んできた。ただ何もしないのは最悪の手だ。復興へ向かう一つの動機付けにはなった」
 「宣言内容は曖昧で制約も期限もない。本当はもっと早く、みんなで戻ろうと言いたかったが、いろいろな意見があって踏み込めなかった。私自身の不安の表れ。ぎりぎりの決断だった」

 -正解かどうか分からないのはなぜか。
 「1年で1200人の帰村は想定以上だった。村民から『自分の家で暮らすのが一番』と聞くと、宣言をして良かったと思う」
 「心配は健康問題。大丈夫と思うが、低線量被ばくの影響がどうなるのか、決定的な答えが出るまでは長い時間がかかる。子どもの少人数教育も気になる。工夫はしているが、できれば大勢の友達と学ばせたい」

<企業進出に力点>

 -直面する課題は。
 「小さな子を持つ家庭の帰村が少ない。どう安心感を持ってもらえるか。放射線の不安解消だけではなく、医療、教育の充実が重要だ。村には高校がない。いわき市や郡山市への通学バスの運行を検討している」
 「除染と雇用は復興の2本柱。村内の除染はほぼ終わったが、年間被ばく線量1ミリシーベルトの目標に達していない世帯が約4割ある。手付かずの森林除染と合わせて新たな問題だ。雇用は企業3社が進出した。今後も3社以上が予定している。企業進出は目に見える復興の起爆剤。力を入れる」

 -5000人の村構想を打ち出した。
 「人口5000ならば高校ができる。企業も進出しやすい。復興住宅を新年度に着工する。富岡町や大熊町など村外の双葉郡避難者も入居対象にする。Iターン向けのアパートも整える。高い目標だが、着実に施策を進めれば不可能ではない」

<「心の復興」重要>

 -政府への要望は。
 「原発事故は世界規模で注目されている。事故と収束作業に関する情報を蓄積し、公開する拠点が必要。オフサイトセンターも廃炉に向けて再構築しなければならない。それらを双葉郡のどこか、できれば川内村に設置してほしい」

 -補償については。
 「いつかは終了する。どうソフトランディングさせていくかだろう。被災者が次を考えるために、仮設住宅制度を含めて何がいつまでに終わり、何が残るのか、スケジュールを早めに公表すべきだ。避難の補償ではなく、帰還支援を重視する必要性も出てくる」

 -帰村宣言2年目に向けての思いは。
 「心の復興が大きな課題だ。病院、教育、商業施設を全て都会並みに整備することはできない。どこかで折り合いをつけなければならない。少し不便だが安心して暮らせる村を目指す」

河北新報:2013年01月31日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/01/20130131t61002.htm
【魚拓】河北新報 東北のニュース/川内村・遠藤村長に聞く 帰村宣言1年課題と展望 http://gyo.tc/Mpg4