万葉集から
旋頭歌の形式の歌
ももしきの 大宮人の 踏みし跡所
沖つ波 来寄せざりせば 失せざらましを
ももしきの
おほみやひとの ふみしあとどころ
おきつなみ
きよせざりせば うせざらましを
百敷きの宮人が訪れた足跡に沖の波が寄せ来なければ消えなかったものを
別の詠みをすれば
「ももしきの」は「百敷の」
「おほみやひとの」は「大宮人の」
「ふみしあとどころ」は「文書の跡所」
「おきつなみ」は「起きつ波」
「きよせざりせば」は「来寄せざりせば」
「うせざらましを」は「失せざらましを」
文書を扱っていた役所が失われた
また、別の詠みをすれば
この歌で、失われたのは
「ふみしあとところ」なので
「ふ」「み」「し」「あ」「と」「こ」「ろ」を無くす
「もも□きの」は「桃木の」
「おほ□やひ□の」は「大屋傍の」
「□□□□□□□□」
「おきつな□」は「御木付汝」
「きよせざりせば」は「清せざりせば」
「うせざらま□を」は「得せざらまを」
桃の実が得られる
児らが手を 纏向山は 常にあれど
過ぎにし人に 行き纏かめやも
こらがてに まきむくやまは つねにあれど
すぎにしひとに ゆきまかめやも
子どもが手に巻く纏向山はいつもあるが、過ぎ去る人が行って手に巻くことがあろうか
別の詠みをすれば
「こらがてに」は「来らがてに」
「まきむくやまは」は「纏向山は」
「つねにあれど」は「常にあれど」
「すぎにしひとに」は「過ぎにし人に」
「ゆきまかめやも」は「行き負かめやも」
纏向山は、来る人が過ぎ去るのを拒む山だ
纏向の 山辺とよみて 行く水の
水沫のごとし 世の人われは
まきむくの やまへとよみて ゆくみづの
みなわのごとし よのひとわれは
纏向の山の傍を鳴り響き流れる水の水の沫のようなもの、世間に生きる私は
別の詠みをすれば
「まきむくの」は「ま来向くの」
「やまへとよみて」は「山へと黄泉で」
「ゆくみづの」は「逝く身付の」
「みなわのごとし」は「身な我の事し」
「よのひとわれは」は「余の人、我は」
「山」は、墓の意味
歌の冠は「よみゆやま」から「黄泉ゆ山」
最後は誰も、墓の中