万葉集の歌から


志賀に行った時の石上卿の歌


ここにして 家やも何処 白雲の

たなびく山を 越えて来にけり


ここにして いへやもいづち しらくもの

たなびくやまを こえてきにけり


ここからは家はどの方向か、白雲の棚引く山を越えて来た


別の詠みをすれば


「ここにして」は「此処にして」

「いへやもいづち」は「異辺やも出づち」

「しらくもの」は「知ら句もの」

「たなびくやまを」は「棚引くや間を」

「こえてきにけり」は「超えて来にけり」


歌を違った詠み方をするようだ

句を超えて、詠んでみれば


並び替えて


「こいしたこ」は「恋ひし、だ、来」

「こへらなえ」は「来べらなえ」

「にやくびて」は「二夜構ひで」

「しももくき」は「下(下の者)も来き」

「ていのやに」は「亭(主)の家に」

「つまけちおり」は「妻闕居る」と、妻が居ない


志賀の家には、妻が来ていない

たった二夜なのに妻が恋しい

下の者も妻が来ている


妻が来ていないから淋しいのだ