万葉集の歌から


額田王が、都を近江に移す時に、三輪山を見て詠んだ歌の反歌


三輪山を しかも隠すか 雲だにも

情あらなむ 隠さふべしや


みわやまを しかもかくすか くもだにも

こころあらなむ かくさふべしや


三輪山をこのように隠す雲には心があってほしい、隠すな


三輪山は、古きは、大物主神である蛇が容姿端麗な男に姿を変えて、夜中に、活玉依媛のどこへ忍び行き、妊ませたという伝説がある


別の詠みをすれば


「みわやまを」は、「三輪山を」

「しかもかくすか」は、「鹿、鴨が葛か」

「くもだにも」は、「蜘蛛、壁蝨も」

「こころあらなむ」は、「此処ろ現らなむ」

「かくさふべしや」は、「隠くさふべしや」


三輪山は、色々な物を隠している



反歌をもう一首


額田王の歌に、井戸王(ゐのへのおほきみ)が和えた歌


へそがたの 林のさきの 狭野榛の

衣に着くなす 目につくわが背


へそがたの はやしのさきの さのはりの

きぬにきくなす めにつくわがせ


綜麻(麻糸を巻いた糸玉)の形(三輪山)の林の先の狭野の榛の木が衣を着るように私の目に映る君


額田王の歌には、色々な生き物が隠されていた

この歌にも隠されている、ものがある


「へそ」は「臍」

「かた」は「肩」

「はやし」の「は」は「歯」

「さき」は「鼻」

「はり」の「は」は「歯」

「きくなす」は「耳」

「めにつく」は「目に眼や眉」

「せ」は「背」


遊び心満載