天武の歌



淑人乃 良跡吉見而 好常言師

芳野吉見与 良人四来三


淑人の 良しと吉く見て 好しと言ひし

芳野吉く見よ 良き人よくみつ


「淑」は、しとやか、善良、上品

「良」は、優れている、勝っている

「吉」は、賢い、幸い、立派

「好」は、好ましい、親しい

「芳」は、香しい、評判が良い


よきひとの よしとよくみて よしといひ

よしのよくみよ よきひとよくみつ


さとやかな人が優れていると賢く見て、好ましいと言う、香しい野を賢く見よ、優れている人はよくみる


「芳野」は、天武が皇太弟を辞し、剃髪し都を去って向かった先の「吉野」

「四来三」は、従来の解釈では、「吉く見つ」


別の詠みをすれば


「よきひとの」は、「余き日処之」

「よしとよくみて」は、「余し処余く御手」

「よしといひ」は、「余し処射ひ」

「よしのよくみよ」は、「余し之余く御代」

「よきひとよくみつ」は、「余きひと敷き「海」」


「よき」は、「余来」

「よし」は、「余為」

「御手」は、手腕や軍勢

「四来三」は、「敷く「海」」で、「敷く」は、遍く治めること、「海」は、大海人である天武のこと


この歌は、天武が日本(日処)を軍勢を率いて戦い天下を治めたことを詠んでいる