万葉集の歌から



檀家の歌


法師らが 鬚の剃り杭 馬繋ぎ

いたくな引きそ 僧は泣かむ


ほふしらが ひげのそりくひ こまつなぎ

いたくなひきそ ほふしはなかむ


法師らの鬚の剃り残しに馬を繋いできつく引っ張るな、法師が泣くから


別の詠みをすれば


「ほふしらが」は、「法師らが」

「ひげのそりくひ」は、「非家の逸り構ひ」と、檀家(非家)が離反する構え

「こまつなぎ」は、「護摩繋ぎ」と、祈願で結び止め

「いたくなひきそ」は、「甚く靡きそ」と、やっと同意させる

「ほふしはなかむ」は、「法師は眺む」と、法師は物思いに沈む


「馬」は、「こま(駒)」と詠むべき


法師が檀家をやっと繋ぎ止めている様を詠んだもの



法師が報える歌


檀越や 然もな言ひそ 里長が

課役徴らば 汝も泣かむ


だんをちや しかもないひそ さとをさが

えつきはたらば いましもなかむ


檀家はそういうが、里の長が租税を取り立てたら、泣くことになる


別の詠みをすれば


「だんをちや」は、「檀落ちや」と、檀家を抜け

「しかもないひそ」は、「しかも汝言ひそ」と、さらに言うだろう

「さとをさが」は、「里を性」と、里の運命

「えつきはたらば」は、「疫付き幡らば」と、疫になり法会を求めたら

「いましもなかむ」は、「今しも眺む」と、お前も物思いに沈む


「今し」は、「たった今」だが「お前」の意味がある


里の定めな従っても、疫病が流行れば、法会にすがることになると詠んでいる