万葉集の歌から
ぬばたまの 斐太の大黒 見るごとに
巨勢の小黒し 思ほゆるかも
ぬばたまの ひだのおほぐろ みるごとに
こせのをぐろし おもほゆるかも
鳥玉の飛騨の大黒を見る度に巨勢の小黒を思い出す
別の詠みをすれば
「ぬばたまの」は、「鳥羽玉の」と、
「ひだのおほぐろ」は、「引板(弾板)の大畔」と、畔の鳴子
「みるごとに」は、「見る毎に」と、見る度に
「こせのをぐろし」は、「瞽女のお黒し(お暗し)」と、盲目の瞽女
「おもほゆるかも」は、「面吠ゆるかも」と、弾き語り
「引板(ひた)」は、「鳴子(なるこ)」のことで、鳥を追い払う目的で、板を鳴らす道具
「瞽女(ごぜ)」は、盲目の女が、弾き語りをする芸能者、瞽女の発祥は、嵯峨天皇(西暦800年頃に治世)の姫君が盲目で生まれこの姫を司として各国府に弟子を養成した
この歌は、
「烏」や「畔」の黒から「瞽女」の目暗を
「引板」から「弾き語り」を
連想したことを詠んでいる
もう一首、先の歌に答えたる歌
駒造る 土師の志婢麿 白くあれば
諾欲しからむ その黒色を
こまつくる はじのしびまろ しろくあれば
うべほしからむ そのくろいろを
駒を造る土師の志婢麿は色白なので、なる程、欲しいだろう
別の詠みをすれば
「こまつくる」は、「独楽作る」と、独楽を作る
「はじのしびまろ」は、「端の強丸」と、端は丸い
「しろくあれば」は、「白く有れば」と、素地である
「うべほしからむ」は、「上欲し絡む」と、上塗りをしたがる
「そのくろいろを」は、「その黒色を」と、黒く塗りたい
先の歌では、
「引板」が詠まれたが、ここでは「独楽」
「黒」だけだぢたが、ここでは「白」と「黒」
と対比させて
歌を詠んでいる