万葉集の歌から



梨棗 黍に粟嗣ぎ 延ふ葛の

後も逢はむと 葵花咲く


なしなつめ きみにあはつぎ はふくずの

のちもあはむと あふひはなさく


梨、棗、黍に粟と続き、這う葛の後に逢おうと葵の花が咲く


別の詠みをすれば


「なしなつめ」は、「梨撫づ奴」と、美味い梨

「きみにあはつぎ」は、「君に阿は継ぎ」と、梨は接ぎ木する

「はふくずの」は、「延ふ具為の」と、延びて連れ添えば

「のちもあはむと」は、「後も敢はむと」と、その後も持ち堪え

「あふひはなさく」は、「合ふ日花咲く」と、一つになり花が咲く


この歌は、梨を接ぎ木して、美味い梨の成る梨を栽培することを詠んでいる

当時、すでに、接ぎ木による増やし方を知っていた


「なしなつめ」

「きみにあはつぎ」

「はふくずの」

「のちもあはむと」

「あふひはなさく」

から、

沓は、「めぎのとく」から「芽木(女木)の徳」と、接ぎ木する恩恵の意味になる


現在は、台木(土台となる木)と穂木(花や実を付ける木)を接ぎ木するというが、「芽木」か「女木」も、「穂木」と同じ意味だろう