「馬酔木」は、春の彼岸の頃に花盛りなので、仏前の供花にもされる


万葉集の歌から


謀反の罪で処刑された大津皇子を偲んで姉の大伯皇女が詠んだ歌の一首


磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど

見すべき君が ありと言はなくに


いそのへに おふるあしびを たおらめど

みすべききみが ありといはなくに


磯の上に生えた馬酔木の枝を折るけれど、見せるべき君はもういない


この歌は、


「いそのへに」は、「斎其の辺に」で、その辺りに、

「おふるあしびを」は、「覆ふる悪し日を」で、覆う荒れた気を

「たおらめど」は、「た愚らめど」で、愚かしくなる

「みすべききみが」は、「み統べき君が」で、統治すべき君が

「ありといはなくに」は、「在りとはいはなくに」で、居ないのだから


から、その辺りを、覆う荒れた気で、愚かしくなる、統治すべき君が、居ないのだから


冠は

「いそのへに」

「おふるあしびを」

「たおらめど」

「みすべききみが」

「ありといはなくに」

から

「阿弥陀負い」

となる


阿弥陀は、すべての人々を救うために四十八の誓いをたてているとされる

この仏の名を唱えれば死後ただちに極楽に往生すると信じられている


謀反の罪で処刑された大津皇子の成仏を祈って姉の大伯皇女が詠んだもの


「馬酔木(あしび)」は、毒がある為、草食動物に食べられない

食べれば、痺れるから、「悪し痺る(あししびる)」からの名前なのだろう