「魂胆(こんたん)」は、
心の奥に秘めた企み、悪巧みのこと
この「魂胆」の語源は、全く分からない
訓読みすれば、「たまきも」で、文字通り、「魂」と「胆」のこと
「魂」は、「たま」や「たましひ」で、古語なら、
霊魂
心の動き、精神、知恵、思慮分別
天賦の才能
などの意味があった
「胆」は、「きも」で、古くは、
肝臓、内臓、はらわた
心、気力、胆力
の意味があった
「胆」は、「竜胆(りんどう)」、「海胆(うに)」、「熊の胆(くまのい)」の様に、珍しい読みがある
「胆」は、古語なら「たむ」て読む
「たむ」は、「回む」、「溜む」、「矯む」、「たむ(訛む)」などの意味がある
「たむ(回む)」は、ぐるりと巡り、迂回すること
「たむ(溜む)」は、とどめておくこと
「たむ(矯む)」は、伸ばしたり曲げたりする、制御する、偽る、弓に矢を構える
「たむ(訛む)」は、訛ること、声が濁ること
「魂胆」を「たまたむ」と読み、「魂矯む」と解釈すれば、思慮分別を偽るのだから、悪巧みをすることになる
「魂」を用いた言葉は、古い時代から、多用されている
「魂離(たまさかる)」で、魂が抜けたようにぼんやりする、失心する
「魂極(たまきはる)」という枕詞で、長生きで物事を知っているという意味のようだ
「魂結(たまむすび)」は、魂が体から抜け出るのを結び止めるまじない
「魂祭(たままつり)」は、死者の魂を祀る行事
「魂合(たまあふ)」は、心が通じ合うこと
「魂棚(たまだな)」は、祖先の霊を迎え、供物を供える棚
「魂消(たまぎる)」は、気絶するほど驚くこと、たまげること、
「魂胆」は、今では、漢読みで、「こんたん」と読むが、古くは、訓読みで、「たまたむ」と読み、「魂矯む」のことで、悪巧みのことを意味していたのだろう