歌論歌 | masaka3936のブログ

    歌論歌

    歌詠み人の和歌の教えを歌にする
    歌人が残した歌についての文章を短歌の形式につ切り替えてみた

    折口信夫なら

    寂撓(さびしおり) 心を掠め 去る影の
    湧きて然りて 繊細微妙

    本居宣長なら

    曲折の あやのあはれに あらはれた
    まことの気持ち ふと口にせり

    香川景樹なら

    あ!や!と言う 嘆きの声を 発するや
    声の調が ひと歌となれ

    藤原為家なら

    いにしへの ものの本から 習い事
    心を高め 心の中に

    旧き良き 詞のなかに あるような
    詞の心地 悪しくなしなり

    藤原俊成なら

    歌詠みの 声の調の 詠みの歌
    趣深く 歌う音べし

    藤原定家なら

    その詞 用いるべきか 捨てべきか
    そういうことで ありませうこと

    使い手は 倭詞の 奇抜もの
    及び難しは 理想の手本

    歌ならば 拙く巧み 兼ね備え
    左右の翼 心と詞 

    いりほがの いりくり歌は ためならず
    ひねり過ぎれば 心の深み

    姿勢から 七七整え 続きニ句
    全体見ては 初句最後

    題の字を 上句と下句 散りばめて
    一題字しも ニ題字わけて

    佐々木信綱なら

    らしいなら 奔放気儘 備えあれ
    自由自在に 全てが歌語

    類想に 真似ることなし 初学者
    初心忘れず 真感事歌

    西行なら

    一詠みが 仏如来の姿 彫り上げる
    真言唱え 想い伝えよ

    うるはしの 古今の風体 もとにして
    その雑歌の 風理詠むべし

    与謝野晶子なら

    人生に 何残りやと 考えし
    儚きものの 歌の類べし

    石川啄木なら

    故郷へ 想いを託し 飾らない
    百歳続く 働く人々

    歌論歌2 歌論歌補遺

    歌詠み人の和歌の教えを歌にする、の続き

    紀貫之なら

    やまと歌は 人の心の 種として
    萬の言葉 とぞなれりける

    世の人の ことわざ繁き ものならば
    見るもの聞くもの 心の言葉

    花に鳴く 水すむ声を 聞くならば
    生きとし生ける 歌詠むものなり

    歌力 鬼の神あはれ 仲和ぎ
    慰むる心 天地動かす

    始まりの 時のはじまり はじまりて
    いでにけるなり やまと葉の歌

    ひさかたの 天のした照る 姫君と
    あらかねの地の 素戔嗚尊

    ちはやぶる 神代の歌の 定まらず
    混沌なるは 事の心に

    素戔嗚 尊の歌は 三十文字と
    余り一文字 詠み侍りける

    花を愛で 鳥をうらやみ 憐れ霞
    露を悲しむ 言葉様々

    歌如し 年月渡る 遠き近き
    山も麓に 棚引く天雲

    歌の様 添へて数へて 準へて
    たとへてただの 祝ひなりけり

    人心 花より色の 仇の歌
    儚き事の いでるのみなり

    飛ぶ鳥の あすかのことのは 葉の瀬の瀬
    さざれ石のの よろこぶ巌

    藤原定家なら

    歌の師は 先人たちの 詠み歌が
    唯一無二の道 古歌の案内

    自らの 悟りの中に 歌がある
    人生歩む 真理世界へ

    歌論歌3 真逆編

    ひそひそと ひそかにかくす かくしあじ
    かろんじたくとも かろんずべからず

    「ん」は「む」から 
    特別な存在だから
    とこかにででも 現れ消える

    清濁を 併せ呑むなら 宵もあけ
    遥かなやまも ひかりさすかな

    歌外詞 はじめの詞 沓冠
    ありやなしやと にげまどうかな

    似た人が 双子あらざる でもなくに
    そこかしこにと 目撃情報

    入力を 変換ミスして 知らぬ字を
    知り足る幸に 神の思し召し

    知りたいと 想う心が 詠みひらく
    言葉の連鎖 手繰る手懸り

    その言葉 縦横無尽に 裏返し
    姿が変わる 天の橋立