鳳凰単ソウという快楽! | まさか!のManiac world...to the worldwide Freaks

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鳳凰単叢烏龍茶は広東省の潮州にある、鳳凰鎮(村)を産地とする烏龍茶です。鳳凰単叢烏龍茶は鳳凰山と呼ばれる山で栽培されます。鳳凰山は単一の山ではなく、数々の山から構成される山の集まりです。それらの山々をまとめて鳳凰山と呼びます。名前の由来ですが、複数の山のピークの外観が鳳凰が羽を広げたようであることから鳳凰山と呼ばれるようになりました。

 

数ある鳳凰山の中でも、歴史的に非常に有名で、高品質のお茶が生産されるのは烏崠山と呼ばれる山です。この山は非常に標高が高く、高い位置になると約1200-1300mあります。烏崠山では、数々の鳳凰山の中でも特に優れたお茶が作られます。高品質のお茶を作るのに適した環境故に、明や宋の時代からお茶が植えられており、樹齢が数百歳〜900歳の木が存在します。

 

白磁、ボーンチャイナ、ガラス製の茶器でいれることをお勧めいたします。これら3種類の素材であれば、少なくとも渋くなる等のマイナス面がなく無難です。

 

鳳凰単叢烏龍茶は大紅抱などの武夷岩茶と非常に近い品種です。潮州では元々鳳凰山にあったお茶が、福建省に持ち込まれ、植えられたと言われております。鳳凰山のある潮州と武夷山のある福建省は距離的にも非常に近いため、論理的に可能な話です。

 

鳳凰烏龍というと必ず出てくるのが単叢という言葉です。鳳凰単叢とか、鳳凰○○単叢と言う名称で呼ばれるのが一般的です。この「叢」と言う言葉ですが、「樹」という言葉に近い意味ですが、どちらかというと、「灌木」と言う意味の方が適切かと思います。同じ意味に対し、雲南省では「喬木」という言葉が用いられます。喬木とは、日本のような茶園方式ではなく、以下の写真の様に一本一本のお茶の木が庭木のように独立して植えられている方式を指します。つまり、単叢とは特定の木のみから収穫された茶を示します。

ただし、現代の分類では、単叢は一本の木から収穫されたお茶を指しません。基本的に鳳凰鎮では茶園産でも、烏崠山の喬木方式のお茶の何れも単叢という呼び方をしております。現在の潮州における定義では、単叢とは同じ種類の香りごとに分類されたお茶を指します。また、親の木のまわりには種が落ちて、その子となるお茶の木が成長します。全く同じではないにせよ、遺伝的に近い事から、親の木と子の木は同じような香りを有することが多く、それらをまとめて単叢とする場合もあるようです。

 

単叢烏龍茶の中でも樹齢の古い木から収穫されたお茶に対して老欉と言う呼び方をします。ただし、老欉の定義は人によって様々です。一般的には100歳以上くらいのお茶を老欉と呼ぶことが多いようです。老欉の場合、若い木よりも深いコク(余韻)が感じられ、お茶が非常に軟らかく感じられます。ただし、鳳凰単叢烏龍の場合、標高も重要な要素ですゆえ、標高が低い地域の老欉では価値も半減してしまいます。

 

本来、一本一本の独立したお茶の木から採れるお茶が単叢と呼ばれるべきですが、現実には鳳凰山産であれば、すべて鳳凰単叢烏龍茶の名称で流通しております。安価なお茶のほとんどは茶園産であり、本来、「単叢」という言葉は当てはまりません。茶園産の場合、窒素肥料による大量生産に加え、ブレンドが行われます。茶園産のお茶は生産量が非常に多いため、原価も安く、また、均一の品質を繰り返し供給することが出来ます。茶園産でもプロセスが適切に行われていればしっかりと香りはします。しかしながら、樹齢数百年の単叢を一度でも飲むと、その違いは素人でも分かります。単叢の場合、コクが非常に強く、香りが深く、その余韻は30分以上続きます。

 

鳳凰烏龍の産地である鳳凰山ですが、お茶は世間一般の茶園の様に整然と植えられているのではなく、野生の木の如く、ランダムに生えております。更に、質の良いお茶になると、剪定がほとんど行われません。剪定が全く行われないお茶は、そのサイズに反して、茶葉の数が少なく、若いお茶の木と比べると明らかに「貧素」な雰囲気すら感じられました。

 

数々の鳳凰産の中でも、最も良質のお茶が生産される烏崠山ですが、特に質の良いお茶になると お茶の木の周りに生えている、「雑草」も放置されております。周りの雑草を除去した方が、お茶にとって快適になるような気がするのですが、実はそうではありません。

 

お茶の木が成長するためには窒素は欠かせません。ただし、肥料として窒素を与えた場合、お茶は人工的にどんどん成長し、品質は劇的に落ちます。また、窒素肥料はアミノ酸として茶葉内に蓄積するため、より害虫を引き寄せる要因にもなります。

 

お茶を健康的な状態にし、同時に質を高めるためには、自然から供給される窒素を利用することが重要です。土の中には、根粒菌をはじめ、空気中の窒素を取り込むことができる微生物が生息しております。これらの微生物は雑草の根と共生しており、ゆえに雑草の存在は欠かすことができません。雑草を取り除くと言うことは、窒素の供給を絶つと言うことで、必然的に窒素肥料を使用せざるを得なくなります。土の中には私達の想像を超える数の生物が生息しており、巨大な生態系を構成しております。これらの生態系を維持するには、土の表面の雑草を残すことが重要です。土が健康であることが、良いお茶を作り出すうえで重要な要素なのです。

 

高品質の鳳凰単叢烏龍茶の原料となる茶葉は単叢と呼ばれる1本1本独立したお茶の木から収穫されますが、特に質の高いお茶になると、老木から収穫されます。烏崠山には樹齢が900歳の木を筆頭に、樹齢数百歳のお茶の木が沢山あります。老木は根が土の中に張り巡らされており、若い木と比べると非常に表面積が大きいのが特徴です。にもかかわらず、葉の数は少なく、また、成長も遅いため、非常にコクの強いお茶が作られます。ただし、窒素肥料を与えたり、剪定をした場合、成長速度が増し、品質は低下します。

 

高級な品質(単叢)になると、限定されたお茶の木から採れた茶葉のみから作られており、1バッチが 数kgから5kg位しかありません。値段が非常に高く、また、数量が限定されるため、海外向けにサンプルが送られることはまずありません。 海外にサンプルを送っている間に、特定のバッチはさっさと売れてしまうためです。 尚、単株茶のような特定の木のみから摘まれたお茶の場合、1バッチが1〜5kg程度しか作られないことも普通で、当然、現地でしか仕入れることができません。

 

鳳凰烏龍の品質は非常にピンキリであり、生産者としても、味の分からない相手には高額なお茶を紹介したいと思いません。むしろ、値段が安く、香りが非常に強い茶園産の方が商売に適していると考えます。私が鳳凰鎮を訪問した際には、良い品質を求めているのだと伝えた物の、生産者は私の言葉を殆ど信用しておりませんでした。試飲を通じ、必ず買い手の試飲能力をテストします。次々と出される、異なる品質+異なる品種のお茶に対し、どのようなコメントをするかが重要なポイントとなります。良い品質と悪い品質が交互に出てくることもあり、それらに対し、正確に評価ができないと認めて貰えません。買い手の本気度合いと、高品質のお茶を見分けられるだけの能力があると判断した時点で、初めて、老欉をはじめとする高品質のお茶が出てきました。

 

 

以上の通り、本当の意味での「鳳凰単叢」を入手しようと思った場合、現地に行き、その場で試飲をし、その場で決断をすることが不可欠です。鳳凰単叢烏龍茶の場合、例え気に入った香りのお茶があったとしても、最大で5kg程度しか入手することが出来ません。高級なお茶になると、1バッチが数百グラムというものもあります。このため、選んだ品質が売り切れてしまった場合、再び、現地へと行き、一通り手間をかけて選ぶ必要があります。非常に手間のかかるお茶ですが、手間をかけるだけの品質と感動を伴うお茶であり、ゆえに私は毎年鳳凰鎮を訪問しております。

 

元々、鳳凰山に植えられていたのは、水仙種と呼ばれる品種だったと考えられております。当時は、お茶を増やすのに挿し木や接ぎ木の技術はなく、全てが種まきにより増やされました。種をまくと、生えてくる子供(F1世代)は、親木とは異なります。更に、その種を更に撒くと、更に異なる品種(F2世代)が出現します。

理科で「メンデルの遺伝の法則」を学んだと思いますが、この原理そのままに、次々と、変わった形質をもつ子孫が誕生します。こうして、800-900年前には1-2種類だった鳳凰山のお茶は、交配により様々な香りのお茶が作られ、現在では数百種から1000種のお茶があると言われております。これらのお茶は香り毎に名称が割り振られており、更に、標高や樹齢を考慮し、別の単叢として細かく分類されます。鳳凰烏龍が多種多様な香りがするのはこの為です。

 

 

鳳凰単叢烏龍茶の毛茶(荒茶)の製法

 

萎凋

摘採の後の茶葉は工場に運び込まれ、竹で出来た笊の上に広げられます。その後、茶葉は竹の笊ごと外に運び出され、太陽光にて午後4時から5時まで日光萎凋を行います。その際、茶葉はお互いに重ならないように注意しなければなりません。萎凋は外気温度が35℃以下の時に行われ、気温の違いにより萎凋時間も調節されます。

 

冷却

日光萎凋の後、茶葉は日陰の室内にて1~2時間冷却されます。茶葉は環境の温度に応じ、異なる厚さに積み上げられます。湿度の低い日は、水分の蒸発を防ぐため、やや厚めに積まれます。室内萎凋により茶葉内の成分は分解し、甘みが増加します。また、成分の穏やかな酸化による香り成分の生成にも寄与します。

 

発酵

この工程は做青 (Peng-qing)とも浪茶(Lang-cha)とも呼ばれ、これは鳳凰烏龍茶を作る上で重要な工程です。

竹製の笊の上に5~6kgの茶葉がのせられます。2人の職人が向かい合って立ち、竹の笊を15回上下に揺らすことで、茶葉を波打たせます。その後、茶葉は回収され、凹型に積まれ、2時間静置します。その後、2回目の做青では茶葉の上下動は30回、3回目は45回行われます。それぞれの做青の後、茶葉は2時間静置されます。4~7回目の做青の作業は竹のドラムで行われます。この場合も、各作業間には約2時間茶葉を静置します。これらの作業により、茶葉の縁に傷を付け、その部分から酵素発酵による酸化反応を開始します。紅茶と異なり、お茶の葉の縁から徐々に発酵させるため、成分は過度に酸化されず(半発酵)、ゆえに渋みが少なく、甘く、花のような香りのするお茶に仕上がります。発酵の程度は茶葉から発生する香りの質と強度により調整されます。通常、1-2回目の做青では、茶葉からは青臭い香りが発生します。3-4回目になると、青い香りに加え甘い香りが混じるようになります。そして、5-6回目になり、茶葉からはフルーツのような香りがするようになった時点で、做青の作業は終了します。

 

釜炒りと揉捻

高温の釜で茶葉を炒ることで、一気に酵素活性を不活性化します。短時間で酵素を不活性化することで、品質の劣化を軽減します。茶葉の温度がまだ高いうちに、揉捻が行われます。揉捻と加熱を交互に行うことで、茶葉が割れることを防ぎます。揉捻の作業は、手作業により行われます。手で揉みあげながら成形も同時に行います。釜炒りによる水分の減少に伴い、茶葉は徐々に粘度をもちます。これにより、手で持ち上げることが出来るようになり、手で揉みあげながら成形も同時に行います。この工程を通じ、茶葉は水分を20-30%失い、また、揉捻の際に茶葉から染み出した水分は、茶葉表面に付着するため、茶葉は艶を持ち、また、強度も増します。

 

鳳凰単叢烏龍茶の製造で最も重要な火入れ熟成

鳳凰単叢烏龍茶の最大の特徴は、まるでフルーツのような甘い香りです。多くの人がこの香りは発酵で作られると考えておりますが、実はそうではありません。

 

毛茶(荒茶)の状態では鉄観音のような香りがする鳳凰単叢烏龍茶茶

発酵、乾燥が終わった直後の鳳凰単叢烏龍茶は、非常に青々とした香りがします。香りの種類としては清香型の鉄観音にちかく、また、人によってはセロリのような香りと感じるようです。この状態のお茶は毛茶と呼ばれ、日本で言う「荒茶」に相当します。

 

 

毛茶の状態では、鳳凰単叢烏龍茶独特のフルーティな香りは得られず、市場での価値も低く、完成品のお茶の値段の1/3位の値段で取引されます。それもそのはず、最も手間がかかり、茶師の腕が求められるのは、他でもない、「火入れ」なのです。

 

乾熱式の火入れが鳳凰単叢烏龍茶の秘密

鳳凰烏龍の火入れの大きな特徴は、乾熱式の焙籠が用いられる点です。通常、安渓や台湾などでは土を直接掘り、そこに炭火をいれ、籠を設置します。この場合、土の中の水分が共に蒸発するため、実際にお茶に火入れを行う際には湿熱になります。湿熱式の場合、カロリーが高い為、お茶は容易に焦げます。逆に乾熱式の場合、サウナと同じで茶葉が火傷しません。鳳凰単叢烏龍茶の火入れは、乾熱に加え、温度管理が厳密に行われ、低めの温度にて20-30時間焙ります。ただし、連続して火入れが行われるのではなく、2時間おきにお茶を取り出し、冷却しつつ、分散することで、水分量を均一にし、再び、火入れが行われます。炭火は完全に灰で覆われ、決して煙が出ないように管理されます。

 

鳳凰単叢烏龍茶の火入れはお茶の短期熟成が目的

実はこの火入れですが、お茶の熟成と原理は同じです。お茶は真空の状態で暖かい場所に保管することで熟成が進みます。例えば、台湾の烏龍茶を真空で数年保管すると、桃のような香りへと変化します。ダージリンのファーストフラッシュも真空で数年熟成することで、マスカテル香とはまた異なる、ブドウのような香りが発生します。これは鳳凰単叢烏龍茶でも同じで、火入れをする前の、毛茶(荒茶)を真空状態で暖かい場所に保管した場合、数年もすると、鳳凰単叢烏龍茶独特のフルーティな香りが生成します。つまり、火入れは、熟成目的で行われております。

考えてみてください。30℃の温度で保管した場合3年で熟成するとします。40℃だったら、更に早くなるはずです。多分、1年でしょうか?50℃では、60℃ではどうでしょう?保管環境の温度が高ければ高いほど、熟成に必要な時間は短縮されます。鳳凰単叢烏龍茶の火入れは、この原理を応用しております。焦げない範囲で、できるだけ高い温度に維持することで20-30時間という短時間で、数年熟成するのと同じ効果を引き出しているのです。

 

鳳凰単叢烏龍茶の火入れは大変な重労働

鳳凰単叢烏龍茶の火入れは2時間おきにお茶を火から外す必要があるため、茶師は、数ヶ月間寝不足になります。寝不足に加え、かがんで行う仕事が多いため、腰への負担が多く、非常に過酷な仕事です。このような苦労のお陰で、鳳凰単叢烏龍茶独特のフルーツ香が作られるのです。

 

鳳凰単叢烏龍茶は武夷岩茶や鉄観音と異なり、日本ではほとんど知られていないお茶です。鳳凰単叢烏龍茶茶は昔ながらの手間のかかる作り方を今に引き継いでおり、高度な技である火入れ熟成によりお茶とは思えないほど強いフルーツの香りが特徴です。

加え、烏崠山をはじめとする産地では樹齢数百年のお茶の木がいまだに大切にされており、また、限りなく自然に近い形で維持されております。この努力は鳳凰単叢烏龍茶茶の深いコクに反映されており、飲むと体がふわりと熱くなります。個性と品質と値段のバランスが良く、とても素晴らしいお茶です。未だ飲まれたことのない人には是非飲んで頂きたいと思います。。

 

 

PS>

 

こちらの文章は、まさか!のように毎年鳳凰山に行っている方の文章を引用しました。

ここで、まさか!は30グラム5000円の茶葉を買いました。

本物のウードン山の単ソウは、これくらいの値段は当たり前です!

 

また、この文章の作者は清香系の茶葉を良しとしていますが、まさか!は濃香しか扱いません。

まさか!は、ウードンの老木蜜蘭香2016を25グラム3000円で販売しています。

もう一つの村名単ソウ<石平坪>の蜜蘭香2016は25グラム2500円です。

安いクラスとして鳳凰鎮で仕入れた蜜蘭香は50グラム1000円です。

 

岩茶もあります!

岩茶房で有名な劉さんの中国国内向けの肉桂は50グラム2000円。

大紅袍は20グラムで1000円です。

こちらは岩韻を感じるレベルではありませんが・・・

普段飲みには十分だと思います。

 

秋には新たな岩茶も販売する予定です。

ちゃんと岩韻を感じる日本未入荷の茶葉です。

お楽しみに!!