恩田陸が3年に1回開催される「浜松国際ピアノコンクール」を取材して小説化。

 恩田陸、ピアノ、静岡とあれば読まずにはいられない。

 ずっと気になっていて読もうと思って読んでいなかった「蜜蜂と遠雷」ですが、毎日下手なピアノを練習している私を見ていた家内がふと「「蜜蜂と遠雷」アマプラで見れるよ」などと言うので、小説に先んじて映画の方を見てしまいました。

 

 

 国際ピアノコンクールの予選会に参加する若き4人のピアニストたち。

 かつての天才少女・亜夜、完璧なテクニックを持つ亜夜の幼馴染み・マサル、謎の天才少年・風間塵、音大出身で楽器店で働きながら参加する高島明石の4人をメインに据えた、コンクールの予選から決勝までの物語。

 

 冒頭からショパンの「雨だれ」が流れ、全編ピアノの美しい音色につつまれていて、一音も聞き逃したくない、という気持ちになる良い映画でした。天才たちの微妙な心の揺らぎを繊細に描いていて、自分とは関係のない世界かもしれないけれど、なんとなく理解も共感もできる。

 

 予選でも様々なドラマが、それぞれの過去も織り交ぜながら描かれますが、圧巻は決勝でしょう。

 いろいろあって、でも最後の決勝で演奏する3人(1名は予選敗退)の表情には感動させられました。

 

 最後は、亜夜がオケと一緒に奏でるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番という私には馴染みのない曲で終わります。

 この曲を弾く亜夜の一瞬の表情で私の涙腺はもろくも崩壊してしまいました。

 

 映画は語り過ぎないところもあるので、小説ではどう描いているのかとても気になりました。

 そのうちに小説の方も必ず読みたいと思います。