「蟻の棲み家」(望月諒子・新潮社/新潮文庫の100冊2023:5/100)読了しました。

 

 

 新潮文庫の100冊(2023)を読破するというマイイベントがなければ手に取らなかっただろう一冊(そんなんばかりですが)。

 恥ずかしながら、本の題名も著者も知らなかったため、どんな本だが想像もできず、もしかしたら蟻の巣の研究をしたドキュメンタリーなのかななどと思って手に取りました。

 

 内容は、暗いミステリーでした。う~ん、暗い。読み進めるにつれ暗さが増す物語。

 題名の意味するところは、多分、親ガチャ・貧困などから抜け出せない人々が住む社会の暗部(地下・暗い場所)といったところでしょうか。

 

 「二人の女が別の場所で、銃殺されているのが発見された。どちらも、身体を売り怠惰な生活を送る母親だった。マスコミが被害者への同情を声高に語る中、フリーの記者・木部美智子は地道に事件を追い続けるが……。格差に美談で蓋する社会と、そこから必死に這い上がろうとする男。社会の暗部を抉る書き下し長編。骨太なノワール犯罪小説。」(新潮社のサイトより)

 

 私の印象は、まず内容以前に「読みにくい」。

 それは、形式的にはまず改行が少ない構成。そしてセリフや心情の主語が誰なのかスッとわからない部分が多々ある。

 主要な登場人物が事象をいろいろな角度から考察することが繰り返され、時系列的にも入り組んでいて、読み直さないと整理できない。まあこれは私の理解力が低いからかもしれませんが。

 

 結末に(予想されたことではあるけれど)どんでん返しがあり、そこはそれなりに面白いと言えるけれど、好きな内容ではありませんでした。

 

 蟻の生態を描くファーブル昆虫記的な話の方が良かったな(笑)