「空と風と時と 小田和正の世界」読書感想の続きです。

 

 

 アルバム「Three and Two」(1979年10月)。その中の「愛を止めないで」など、小田さんがシャウトする曲が見え始め、私はちょっと違和感を感じました。

 本書でも、この頃から小田さんが「自分の思いだけに向き合うのではなく、人を惹きつける言葉や物語を作ることを志向し始めた」と書いていますが、音楽、音づくりについても同様だったのだと思います。

 そして「さよなら」の大ヒット。

 小田さん自身が2020年に「これ、売れるなと俺も思ったね。でも、あれもどこか自分じゃないみたいなところがあった。演じているなと思った曲だね」と振り返ったそうです。

 

 その後のオフコースの大活躍は多くの方の知るところです。

 オフコースはこうして完全にメジャーになり、私も高校から大学とリアルタイムのオフコースを聴いて楽しみました。

 でも私の、2人時代のオフコースが最高だったな、という思いは変わりませんでした。

 

 私が大学に入った頃、オフコースは5人のメンバーで人気絶頂でした。その絶頂の中、オリジナルメンバーのヤスさんが脱退したのです。

 本書によると、ヤスさんが脱退の意向を示したのが1980年の12月頃。実際に脱退したのが82年6月。私が大学3年のときです。

 2人から5人になり音楽が変わり、そしてヤスさんが抜けた。なんだか自分が愛してきたオフコースが明らかに違うものになってしまう感に襲われました。

 でも本書を読んで良かったことの一つは、ヤスさん脱退が小田さんとの喧嘩別れではなかったことがはっきり分かったことです。更には小田さんがヤスさんを信頼しリスペクトしていたこと。

 長年のモヤモヤが解消しました!

 

 「We are」「Over」(僕たちは終わった)。

 「Over」の中の「心はなれて」「ひととして」(小田)、「君におくる歌」(鈴木)。

 著者が本書で取り上げた、ヤスさん脱退にまつわる2人の心情を表した歌。

 そして「言葉にできない」。

 改めて歌詞を見てみると2人の友情、そして小田さんのヤスさんへの想いが伝わってきます。

 

 ヤスさんとの最後になる武道館ライブは良く動画で見ますが、「言葉にできない」で感情がこみ上げる小田さんの姿は何度見てもグッときますね。

 

(続く)