さよなら強さん 72 | CARPE DIEM BJJ 岩崎正寛の独り言

CARPE DIEM BJJ 岩崎正寛の独り言

日々の考察、気づき、試合レポート、昔話などを交えて柔術を語る

アジア選手権が終わり強さんがついに予定していたイギリスにCarpe Diemを出すのでロンドンに引っ越しすることになった。

玉木強さんは私をCarpeDiemに呼んでくれた方で東京に状況した時は一年ぐらいボロアパートに二人で住んでいた。

場所は六本木の駅近くで六本木ヒルズが見える目の前という素晴らしいロケーションだったにもかかわらず私たちのマンションには日本人が私たちしか住んでいなかった(笑)

魅惑の街に一緒に住んでいたのに遊びに出たことは一度もなく、なぜか駅近の豚組でトンカツをたまに食うのが私たちの贅沢だった。

当時は遊びに出るような金もなく田舎から上京して来たまんまの状態で六本木のクラブで遊んだりできるような余裕もなく練習が第一優先だった。

そんな一番思い出深い時期を一緒に過ごした私の兄貴分のような人であり一緒に海外やいろんなところで戦って来た戦友でもある強さんが現役を引退して道場経営にシフトして行くというのは私も感慨深いものがあった。

その最後の日は当時のCarpeDiemのスタッフが全員集まり強さんの送迎会を行った。

というのも強さん回しで全員とスパーリングと一見CarprDiemらしくない古臭いスタイルの送迎会だった。

私が二番手で最初に橋本が相手だったと思う。

私は本当に最後という意を込めて全力でぶつかった。

たった5分のスパーリングにいろんな思いが巡ったのは今もこの時が最初で最後だったのではないかと思う。

私は肩固めで強さんを締めながら涙腺は緩む一方だった。

しかし私たちはそうやって信頼関係を築き、ぶつかって来たのだ。

気持ちなんか分からなくても私の積み上げた技術に強さんが大きく関わっていることは紛れもない事実なのである。

だから私は感謝の言葉ではなく攻防で思いを伝えた。

現在強さんはCarpeDiemロンドンを経営し頑張っている。

性格はどちらかというと不器用なのだが圧倒的なまでの凝り性は道場経営に向いていたのではないかと思う。

圧倒的努力の人。それが強さんだ。

私はそんな先輩からたくさんの影響を受けて来たのだから幸せと言えるだろう。