今日は、野村宏さんという男性が「妻との関係について」という事で相談に見えました。

 野村さんは、40歳前後で、中規模会社の経理マンという印象の男性でした。

 何となく落ち着かない雰囲気で視線を動かしていました。

 

 

「こんにちは、野村さん。奥さんとの関係のご相談とのことですが、どうされました?」

「実は、妻との関係がギクシャクしていまして・・・」

「具体的にどのようにギクシャクしているのですか?」

「妻が怖いのです・・・」

「奥さんが怖い?虐待、つまりDVにでも遭っているのですか?」

「妻がDVの加害者になることもあるのですか?」

「あります。肉体的虐待を繰り返していた妻を、私は何人か見てきました」

「妻が・・・夫を肉体的に虐待するのですか?」

「ええ、プラスチック椅子で殴りつけたり、モノをぶつけたり」

「それって、夫婦喧嘩の一種なのでは?」

「とんでもない。おびえきった夫を一方的に虐待するのです」

「し、信じられません」

「私も、被害者たちの話を聞くまでは信じられませんでした」

「精神的虐待はもっと多いのでしょうね」

「司法統計を見ると、夫の離婚原因として「精神的に虐待される」という項目の割合が年々増加しています。もちろん、妻の側もですが」

「私の場合、暴力を振るわれたりすることはないのですが・・・」

「精神的に虐待されている?」

「う~ん、そこまでも行っていないと思います」

「具体的にどういう状態なのですか?」

「何と言いますか・・・俗に言う尻に敷かれるということでしょうか・・・家のことは全部妻に決定権があるのです」

「野村さんのご意見は受け入れられない?」

「そうなんです。もう何もかも妻の言うがままでして」

「まず、経済的なことをお訊きします」

「はい」

「奥さんは働いておられますか?」

「いえ、昨今では珍しい専業主婦です」

「野村さんの給料で生活しているのですね」

「はい、銀行に振り込まれた給料を妻が管理し、私はお小遣いを貰うだけです」

「お小遣いが少なすぎると、いわゆる「経済的DV」に当たるかもしれませんよ」