「綾瀬女子高生コンクリート詰め事件」の犯人が出所後殺人未遂事件を起こしたと報じられている。
「更生させることができなかったのか!」
という声が強いが、私は受刑者の更生についてはある種の絶望感を抱いている。


殺人未遂事件等の重大事件は大々的に報じられるが、薬物事犯や窃盗などの再犯は(世間の耳目は集めないものの)驚くほど多い。
刑務所と実社会を行き来する再犯者が後を絶たないのが実情だ。


国選事件の記録を読んでいると、前科前歴がない被告人はごくごく少数派で、多くは受刑経験がある。


再犯が多くなる原因として、刑務所内での処遇が挙げられることが多い。
社会復帰に向けての更生よりも、悪い仲間を作ってしまう「悪風感染」の悪影響の方が強いとも言われる。
また、刑務作業が旧態依然たるものであり、社会復帰に役立たないとも指摘される。


再犯を繰り返す被告人らと接見すると、彼らは一様に「今度の刑期はどのくらいになるのか?」という点に関心を寄せる。
そして、刑期が1ヶ月でも2ヶ月でも短くなることを願う。


彼らは刑務所生活がとても嫌で懲りているで、1日で短い刑期を願うのだ。

そんな彼らが再犯を繰り返すのは、一般人の常識では理解できないだろう。
刑務所に二度と入りたくないのであれば、決して犯罪に手を染めないというのがスジだろう。


それでも、犯罪を繰り返すのは、実社会で前科者のレッテルを貼られて辛い思いをするからか、そもそも生来的に犯罪性向が強いのか…。


ドイツの生理学者ランゲは、刑務所に収容されている双生児の一方を見つけ、他方が犯罪を行っているかどうかを調査した。
その結果、一卵性双生児の場合は、13人中10人が犯罪を行っていたのに対し、二卵性双生児の場合は、17人中2人だった。
サンプル数が少ないことなどから信憑性には疑問があるが、犯罪性向の強い人間が(どの時代、どの社会にも)存在することは間違いない。

しかし、犯罪性向を抑止する確立された効果的な対処法は存在しない。
早期教育等で、犯罪性向を抑制することができれば素晴らしいことなのだが…。