コミュニケーション能力の質を向上させます!

 

村上春樹著「ノルウェーの森」で、「自分がやりたいことをやるのではなく、やるべきことをやるのが紳士だ」という台詞がある。
この台詞をもじる訳ではないが、「自分の好きなことをやるのではなく、要求されたことをやる」のがプロフェッショナルだ。


世の中には、「自分の好きなこと」ばかりやっていても、大金を稼ぎ名声を得る人が希にはいるだろう。
しかし、私を含め多くの凡人たちは、「自分の好きなこと」ばかりやっているうちはアマチュアだ。
相手が取引先、雇用主、はたまたファンなど、要求相手は異なるが、「要求されたこと」に応じた成果をあげて対価を得るのがプロフェッショナルの最低条件だ。
自由業のよう見える音楽関係のアーティストでも、ファンの要求に応えて全国ツアーをするし、ファンの期待する歌を作ったり、歌ったり、演奏したりする。

人気作家も、編集者や出版社、そして最終ユーザーである読者の要求に応えて、作品を書く。


いわんや、ビジネスの世界では、相手の要求に応じることができなければ(当然のことながら)、決して対価を得ることはできない。
このように、対価をもらうプロフェッショナルの最低条件は、相手の要求に応じた成果をもたらすことだ。
もっとも、単に相手の要求に応じていただけでは、普通のプロフェッショナルだ。
出世コースから外れて閑職にいるサラリーマンでも、「出勤してきて一定時間オフィスにいろ」という会社の要求に応じているので、一応プロフェッショナルだ。


普通のプロフェッショナルを超えた“真のプロフェッショナル”とは、(相手の要求に応じつつも)自身の創意工夫を加えるなどして要求以上の成果を出す人を指す。
例えば、新規顧客100名の獲得を会社に要求された営業マンが、新規顧客150名を獲得できたり、獲得した100名の顧客を自社のファンにして口コミインフルエンサーにできれば、その営業マンは”真のプロフェッショナル”だ。


プロフェッショナルである間は、要求に応じた相応の対価しか得ることはできない。

しかし、”真のプロフェッショナル”になれば、対価以上の報酬を得ることができる可能性が高まる。


給料が安いと嘆く人がたくさんいるが、自分のもたらした成果に応じた対価しか得られないのが原則だ。

もっとも、企業規模や会社の業況、はたまた景気動向などによって、この原則は大きく歪められているが…。


対価や報酬の多寡は運に大きく左右される。

しかし、自分でコントロールできない外部環境に頼ることなく、常に要求水準を上回る成果を出し続けるのが、“真のプロフェッショナル”だ。


では、どうすれば真のプロフェッショナルになれるか?
われわれ凡人は、要求されたものよりほんの少しでも水準の高い成果を上げるよう地道に努力していくしかないと思う。
日々、(ほんの少しでも)要求を上回る成果を出すよう地道に努力すれば、その蓄積が「量の違いから質の違いへの転換」をもたらしてくれる。


イチロー選手の驚くべき成果も、他の選手より分量の多いバッティング練習を日々重ねてきた結果だ。

まさに、「量から質への転換」のお手本だ。
われわれ凡人が天才に学ぶことができるのは、このような側面ではないだろうか?