一番わかりやすい日本経済入門」(塚崎公義著 河出書房新社)を手に取り、目次を見て腰を抜かすほど驚きました。

 

第1章が「戦後日本経済史」では、1戦後日本経済史の概観、3高度経済成長期、4バブルの時代、3アベノミクス等々と、戦後の日本経済を余すことなく概観しています。

 

第2章が「暮らしの中の経済」では、1日本の人口構造、4、女性の活躍、6年金の制度、7人生にかかるお金と、昨今はやりのお金に関する内容の多くが盛り込まれています。

 

第3章「企業・産業・金融の動き」では、2日本的経営、3日本の食糧事情、4日本のエネルギー事情、7日本の国際収支と、企業を取り巻く経済状況が概観されています。

 

第4章「契機と物価、財政金融政策」では、1日本の財政、4景気変動のメカニズム、5財政金融政策の手段と効果など、経済金融政策の手段と効果について書かれています。

 

これが税抜き820円の新書版で、ページ数も261ページ。しかも、索引まで付いています(索引があるのは極めて重要です)。個人的には「あり得ないでしょう!」という感覚に襲われました。

 

以前だと、「ゼミナール日本経済入門」のような文字数の多い書籍でしか実現しえなかった内容が、本書では簡潔明瞭に凝縮されています。

もちろん、深堀された解説は物理的に不可能ですが、初心者が日本経済の実態について概観したり、一通り学習した人がまとめとして読むには最適でしょう。何といっても、安い!

 

一つだけ留意すべきことは、本書は理論書ではないということです。

「変動為替相場の下ではIS曲線が…」というような解説は一切ありません。

著者は当然その点を知悉しつつ、あえて過去の日経新聞のダイジェスト版のような内容にしているのです。

数式も理論的なグラフも出てきませんので、数学の知識は一切不要です。

 

年末年始に特にご一読をお勧めする一冊です。