説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
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長くても30分で効果が出るよう工夫して書いています。余暇時間の争奪戦が激化した今ならではの工夫です。
数年前、ツタヤ関連の方から「次に挙げた映画の中でオススメを選んで、その理由を書いて下さい」という依頼を受けたことがあります。
私は「ライフ・イズ・ビューティフル」を選んで、「人生は長さではなく質だということを教わりました」という理由を書きました。
同映画は、アウシュビッツ強制収容所に入れられた家族の物語で、小さい男の子を道化師のようになって励ます父親の姿が感動的に描かれています。
ネタバレにならないように書くと、この父と息子の収容所での生活は、どんなに長い期間よりも濃密な人生だと感じました。
今の日本では、戦争を体験した世代の人たちが少なくなっています。
しかし、物語や記録等で激戦地に行った人たちの体験を読むと、その密度の高さには、ただただ驚くばかりです。ご本人たちにとっては思い出したくもない辛い体験だったのでしょうが…。
世の中には、「長生き」=「人生経験豊富」と考える人が少なくありません。
二十年くらい前の離婚調停に依頼者の妻に同席した時、開始早々に担当調停員から、「法律知識は先生の方がよく知っているでしょうが、人生経験は私達の方が豊富です。それを決して忘れないように!」と、いきなり上から目線で断言されたことがあります。
いや〜な予感がしたら、案の定、依頼者のある妻を上から目線でコンコンとお説教して、挙げ句の果てには妻が泣き出してしまいました。
私が途中で何度も口を挟んでも、「弁護士さんは黙っていて下さい」と叱りつけられる始末でした。
その日の調停終了後、担当書記官に事情を話して抗議したら、いつの間にか「弁護士である私が調停員をいじめた」という有りもしない噂が広がり、ずいぶん往生したものです。
書記官に抗議をしたことで、調停員たちのプライドが傷ついたのでしょう。
漫然と長生きしている人が人生経験豊富な訳では決してありません。
少なくとも当該調停員たちより、日々多くの人たちから法律相談を受けている私の方が(関節体験にしろ)人生経験が長いのではないかと思った次第です。
苦しい経験や苦労が大切だ、などとジジ臭いことを述べるつもりはありません。
順風満帆な人生であれば、その方がいいに決まっています。
南欧諸国の人たちのように、人生は楽しむものだからです。
ただし、もしも本稿を読んでくれている方の中に、大変な苦境に陥っている人がいるとしたら、ひとこと言いたい!
「逆境を乗り越えることこそが人生の最大の醍醐味であり喜びである」と。
逆境を乗り越えた人生の方が、最初から順風満帆な人生よりはるかに喜びと価値があるものです。
明けない夜はありません。
逆境を乗り越えた時、あなたの人生は以前より遥かに豊かなものになっているはずです。
そして、人生の喜びを心の底から実感できていることでしょう。