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よく「初恋は成就しない」と言われます。その根拠として、概ね次のような説明がなされています。

 

異性に関心を抱き始める思春期は心身の成長の真っ最中でなので、精神と肉体がアンバランスになりがちだ。

異性に対する認識も実像とかけ離れてしまう。それゆえ、実像をありのままに認識する結婚には至りにくい。

 

教科書的な説明を私なりに要約すると上記のようになりますが、もう少し露骨に表現すれば、

①思春期は、SEXというものに目覚めて興味津々になる。

②ところが、SEXはもとより異性に接することも困難な社会的障壁が立ちはだかる。

③禁じられればますます欲しくなるのと同じ原理で、異性を過大評価してしまう。

④いざ大人になってタブーが解かれると、熱が冷めてしまう。

ということではないかと考えます。

 

あなたも経験があるでしょう?

欲しくて欲しくてたまらないオモチャやレア物商品は夢に出てきたりしましたよね。

しかし、いざ手に入れると、最初のうちは嬉しくとも数ヶ月も経つと見向きもしなくなったという経験が…。

 

ところが、昨今は上記のような「初恋プロセス」が失われているのではないかと、私は勝手に危惧しています。

一昔前は、女性のアンダーヘアの写った写真は猥褻物として頒布等が固く禁じられていました。

当時の若い男性たちにとって、禁じられた猥褻物は見たくてたまらない対象でした。

友人の誰かが海外旅行に行って密輸してくると、まるで蜂の巣をつついたような騒ぎになりました。

友人たちに大いに自慢しようと企み、大量に密輸しようとして税関で捕まった同級生もいます。

その当時は、(少なくともわれわれ男性にとって)女性というのは未知なる神秘的な存在で、過大評価や錯誤があちらこちらに存在しました。

それで人生を変えてしまった友人も何人かいます。

 

ところが、今やネットを見ればうんざりするようなSEXシーンが腐るほど出てきます。

女性の実態を赤裸々に描いた内容の手記や記事もたくさんあり、かつての神秘性が完全消滅したかのような印象を受けます。

つまり、女性を過大評価してしまう初恋の条件が、ことごとく失われたような気がするのです。

おそらく、これは女性にとっても同様だと思います。

男性に対する過大評価は、ネット経由の情報で完全消滅してしまったのではないでしょうか?

 

最初から等身大の異性と接するようになったといい切ってしまえばそれまでです。

しかし、過大評価や錯覚が恋愛を成り立たせるための重用なファクターだと仮定すると、恋愛そのもののが激減してしまうことになりかねません。リアル恋愛を面倒だと感じる若者たちが増えたのには、こういった背景があるのではないでしょうか?

 

「君の名は。」で名を馳せた川村元気氏の「四月になれば彼女は」(文藝春秋)には、やたらと老成してしまった若者たちがたくさん登場し、薄ら寒い気持ちになりました(私の読み方が浅いせいかもしれませんが・・・)。

 

彼や彼女の姿を一目見たくて通学電車を無理してズラすようなピュアな恋愛は、今の時代には天然記念物になってしまったのでしょうか?

ストーカーに間違えられる方がよほど恐ろしいとか(笑)。

 

今日の情報氾濫が思春期の特権である初恋を消滅せしめたとしたら、いささか気の毒に思ってしまいます。老婆心ならぬジジイの戯言だと笑われるかもしれませんが…(笑)