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ノーベル賞じゃないんですから…^_^;

 

民法747条1項は次のように規定しています。

 

詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

 

詐欺による婚姻というのは”結婚詐欺”ではありません。相手を騙してそれを信じた相手と本当に結婚してしまうことです。どんな場合に「この結婚は相手に騙されたものだ。だから取り消しを認めてくれ!」という主張が通るのでしょうか? 私自身、今までこのような事例の相談に乗ったことも委任を受けたこともありません。

 

この「詐欺結婚」についての極めて珍しい判決が平成18年に東京家裁で下されたようです(又聞きです)。

 

事案は、結婚相手の女性が、実は52歳であるのに24歳と偽って結婚し、後日夫がそれを知って取り消しを求めた判決です。

 

以上を総合すれば,……被告が自己の年齢を24と偽っていたことは事実であると認めざるを得ず,これに反する証拠はない。
 女性の心理として多少なりとも若く見せたいことは十分理解できることであり,多少真実の年齢と差があってもそれだけでは婚姻取消を認めるわけにはいかないと思われるが,52と24では大変な違いであり,婚姻後の生活設計も土台から異なってくるような違いである。したがって,かかる錯誤は婚姻の取消しを認めるのに十分と思われる。

 

その控訴審である東京高裁も以下のように述べて取り消しを認めました。

すなわち,19歳の年齢の差があっても,両者が年齢の差を承知した上で,なお愛情に基づき婚姻するということはあり得るが,上記のとおり,被控訴人〔1審原告〕にとっては,控訴人〔1審被告〕の年齢が52歳であるか24歳であるかは,婚姻後の生活設計が土台から異なってくるような違いであり,52歳の女性と婚姻することは予想外のことであったと認められるから,被控訴人〔1審原告〕が控訴人〔1審被告〕の年齢を24歳と誤信していたことは,婚姻意思に重大な錯誤があったというべきである。……被控訴人〔1審原告〕が控訴人〔1審被告〕の年齢を承知した上で婚姻したものと認めることはできない。

 

それにしても、52歳の女性を24歳と間違った男性が実際にいたのですね〜。しかも、両名の間には何度か肉体関係もあったようです。この女性、もしかしたら女優の由美かおるさんのような人だったのかもしれません。

 

もし、年齢を偽っていたのが男性だったとしたら結論は変わっていたでしょうか? 

男女の年齢詐称の差は「子供を残せるかどうか?」ということでしょう。子孫を残すことが婚姻にとって重要な要素だとすれば、男性が偽っていた場合には取り消しが認められない可能性もあります。この点の是非については、みなさん各自で考えてみて下さい。

本件のように年齢を偽る以外に「詐欺」として婚姻の取り消しが認められるのはどういう場合でしょう?「借金まみれなのに大金持ちだと嘘をついた」「学歴や勤務先が嘘だった」「病気を隠していた」…などなど、様々なケースが考えられます。

 

ちなみに、フランス民法では、詐欺による婚姻取り消しは認められていません(強迫による取り消しは認められています)。

フランス人をはじめとするラテン系の人たちの言うことは、男女ともに大きく割り引くのが常識で、たとえ騙されても愛し合った以上結婚と続けろという趣旨でしょうか…^_^;