世界的な原油安が企業業績に明暗をつけています。
原油安で打撃を受けた企業の経営者や担当役員が、「想定外の原油安だった」と新聞の取材で語っているのを目にする度に、私は呆れ果てると同時に、その会社の株式を買わないように注意しています。
原油安は十分想定できたのです。
何も特殊な能力は必要ありません。
以前、拙「読書ブログ」でもご紹介した、「木材、石炭、シェールガス 」(石井 彰)、「シェールガス革命で世界は激変する」(長谷川 泉谷)程度に目を通していれば十分想定できたはずです。
想定はしたものの「他の要因を重視した」とか「社内でのコンセンサスが得られなかった」というような理由であれば救われますが、普通に書店で売っている本に書かれていることすら知らなかったというのは救いようのない勉強不足と判断せざるを得ません。
エネルギー関連企業であったり総合商社のエネルギー関連の役員が、自分の仕事に関連する書籍にまったく目を通していないというのは会社にとっても株主にとっても大変な悲劇です。
しかも、臆面もなく新聞の取材で自らの不勉強を告白しています。
私は、会社の役員の資質として次の2つがあると考えています。
1 会社運営に関してできる限りたくさんの情報を集め、その中から判断材料となるものをピックアップする力。
2 不確実な未来に対して、決断・実行する力。
2番目の資質については「勝負は時の運」といわれるように、当たり外れがあってもやむを得ないでしょう(外れの悪影響を最小限に止める必要はあるでしょうが)。
1番目の資質は、特別な能力は不要で、ただ真面目に仕事に取り組んでベストを尽くせば達成できるものです。
自身の業務に関連する書籍を読むくらいは最低限必要な労力でしょう。
何も外国語の専門書を読めと言っている訳ではないのですから。
このように、「原油価格下落は想定外」だと自らの不勉強を告白している役員は、(表現は厳しいですが)最低限の読書もしていない怠け者です。
こんな役員に高額な年俸を払う必要はありません。
株主総会で「NO!」を突きつけられても仕方がないでしょう?