今回は、「56歳からの挑戦」(加藤裕治著 法学書院)をご紹介してます。


著者は、トヨタ自動車の労働組合専従を経て自動車総連会長職と24年間に及ぶ労働組合員生活をしていました。

「人生二度生き」の哲学を実践すべく、56歳のときに法科大学院に合格して司法試験を一発合格、2013年12月に弁護士登録をしたという経歴の持ち主です。


法科大学院の夜間に通い、限られた時間を必死でやりくりし、身体がボロボロになってようやく司法試験合格を果たしたとのことです。


チャレンジに成功するために、次の5つを挙げています。


1 素直な人が合格する

2 われ以外はすべて師なり

3 日々積み重ねるということ

4 あきらめないこと

5 あせらないこと


チャレンジで得られるものとして、次の3つを挙げています。


1 世代を超えた仲間

2 感性がよみがえった

3 超高齢化社会を乗り切るために


現在63歳(たぶん)の新米弁護士の著者は、海外で活躍する企業の労使関係について的確なコンサルのできる「国境なき弁護士」になることをめざしているとのことです。


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一気に読み通して、大変な感銘を受けました。

数々のご苦労もさることながら、多くの幸運に恵まれたことを感謝する著者の姿は、読んでいて清々しさと勇気を与えてくれました。


チャレンジに成功する5つの要件はまさにその通りで、いかなる試験でも必要な心構えでしょう。

チャレンジして得られたもののひとつである「感性がよみがえった」というのは、実は私自身が最近になって経験しています。

小さな花々の美しさを再認識したり、読書をしていてこみ上げてくるものを感じたり、体から薬が抜けることによって感性がよみがえったのかもしれません。


「人生二度生き」哲学は、多くの人に勇気と感動をもたらすはずです。

始めるのに遅すぎることはない、を証明したのが著者でしょう。


ちなみに、著者の第一の人生は、弁護士になってからもの凄い財産になるはずです。

最近、福岡市役所を退職して司法修習生になった人の記事を見ましたが、市役所勤務という実績があれば間違いなく食いっぱぐれることのない弁護士になれます。

著者のめざす「海外で活躍する企業の労使関係について的確なコンサルのできる国境なき弁護士」になれる土台は、第一の人生にあると思います。


このように、一見遠回りに見えても、廻り道で得た経験や人脈が必ず役立つのが弁護士という職業です。


著者の今後のご活躍を祈念すると同時に、(私自身を含め)一人でも多くの人が「始めるのに遅すぎることはない」を実践することを祈ってます。


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