今朝の日経新聞で、「格差時代の給付付き税額控除」という記事が掲載されていました(1月15日付同紙「大機小機」)。


格差是正には給付付き税額控除という制度が望ましいということでしたが、残念ながら「給付付き税額控除」についての説明がありませんでした。


関心があったので調べてみて行き着いたのはダイヤモンドオンラインに連載されている森信茂樹氏の記事でした。


無料会員登録を済ませて目を通したところ、ようやく納得できました。


生鮮食品などの品目を定めて消費税を軽減することについては、私自身極めて疑問に思っていました。

品目の設定そのものが大作業であるのに加え、販売店での対応もコストがかかると予想されます。

そのコストが消費者に転化されれば元も子もないからです。


その点、給付付き税額控除は極めて有効な制度でしょう。


仮に、世帯年収300万円未満の世帯について、家族一人当たり一律3万円を給付するとします。

300万円から400万円までの世帯については、その半分ということで一人当たり一律1.5万円を給付し、年収400万円以上の世帯については給付しません。

これに伴う所要財源はおよそ5000億円弱となるので、消費増税分から5000億円弱を賄います。

今回「簡素な給付措置」の導入で、自治体には給付業務を執行する仕組みが構築されたので、マイナンバーが導入されるまではそれを活用すべきです。


要するに、全世帯にあまねく恩恵(?)がいくような制度は低所得者対策としては効果が薄く、低所得者に対して重点的に配分することによって格差の是正効果があるということです。


これは、本年度予算で決められた「子育て世帯臨時特例給付金」についても同じことが言えるのではないでしょうか?


同制度は、対象児童1人につき10000円を支給すると定めており、所得制限限度額が最も低い子一人で(給与収入ベース)875.6万円とかなりの高額です。


http://www.2kyufu.jp/kosodate/youken/


配偶者が扶養に入れば、年間所得900万円ある人でも対象児童一人につき10000円がもらえます。


親の飲み代に消えたとしても(笑)個人消費増加にはつながりますが、低所得者対策にはなりません。


あまねく「対象児童一人あたり1000万円」をばらまくよりも、所得の低い家庭の子供に重点的に投じた方が、はるかに子供の貧困対策としては有効だと思います。


このような考えに対しては、貧困対策と子育て支援という別物を混同しているという批判があるかもしれません。

確かに子育て支援という立場からすれば、年収400万円以上の世帯には支給しないというのは乱暴でしょう。


そこで、年間所得の上限を600万円と定め、300万円未満の世帯、400万円未満の世帯、500万円未満の世帯、600万円以下の世帯に区分して、所得の低い世帯に手厚く配分するという考え方も可能でしょう。


具体的に想像してみましょう。

年収の高い世帯のお子さんの中学受験塾の月謝は月額約3万円くらいですので、1万円の給付金は月謝の3分の1に使われます。

月額の3分の1ですから、限界効用はそれほど高くはありません。

くだけた表現をすれば、「ありがたみ」はそれほどでもないのです。

それに比べて、低所得層の子どもたちにとっての1万円は、場合によっては医師の診察を受けることができるお金にもなるのです。

貧困な環境の子どもたちは、最悪の場合、医療へのアクセスもできないということは、以前の「読書ブログ」でも書きました。

このような子どもたちにとっては、1万円の「ありがたみ」は比較にならないほどで、限界効用はとても高いのです。

そこで、ある層のご家庭では塾の月謝の3分の1を我慢してもらう代わりに、平均年収カツカツ以下くらいのご家庭に手厚く交付するというのは、全体として考えれば大きな子育て支援になると思います。


給付付き税額控除もそうですが、子育て支援も限界効用がより高い家庭(「ありがたみ」をより実感できる家庭)に傾斜配分することで、国民一人一人の幸福につながるパレート効率的な配分が可能になるのではないでしょうか。


優秀な国会議員や官僚の方々には釈迦に説法かもしれません(皮肉に聞こえるかもしれませんが、少しは皮肉混じりです)。

同じ支出であっても、温かな心で工夫してなされた支出は生きたお金になるはずです。

終わったものを批判してもはじまりません。

決定された支援策は、それを期待している人たちもいますので覆すことはできません。


将来的に、様々な分野の専門家の方々や温かい心を持った政策立案者の方々の「議論のきっかけ」になれば幸いです。

なにぶん、今日の今日考えたばかりなので、至らない点だらけだと思います。


多くの方々によって発展的スクラップをしていただければ幸いです。