今回は、「木材・石炭・シェールガス」(石井彰著 PHP新書)をご紹介します。


本書は、以下の7つの章で構成されています。


第1章 「エネルギー反革命」の時代

第2章 再生化のエネルギーの世界史

第3章 第一の反革命ー再生化のエネルギーは環境に悪い

第4章 第二の反革命ーシェールガス革命

第5章 第三の反革命ー「石油の世紀」の終焉

第6章 エコという迷宮

第7章 エネルギーの将来


私が特に、気になったのは次のような内容です。


太陽光発電は、コストが高いだけではなく環境破壊をもたらします。

大規模の敷き詰められた太陽光パネルの下は太陽光が当たらなくなり、必然的に植物は生育できません。

パネルの温度は、最高摂氏70度以上にもなり、その地域全体では強い上昇気流が発生し、局地的気象さえ変えてしまうリスクも一部では指摘されています。

設置場所近くで局地的ヒートアイランド現象を間違いなく引き起こし、設置場所付近の温度は大きく上昇します。


地熱発電50基でやっと原発一基分の発電量なので、原発一基分の出力を得るためには、およそ50ヶ所前後の国立公園の特別地域を壊さなければならないのです。


IEAは、シェールガスのライフサイクルでの・・・温室効果ガス排出量は、在来型に比して僅か2%程度多いだけと結論づけています。


石炭火力発電の発電効率技術が向上しており、いまだ、あらゆる発電方式の中で最もCO2発生量が多いが、発電コストは最も安いものです。


ヒートアイランド現象に最も効果的なのは緑化ですが、街路樹のトンネルができる前に街路樹を剪定しているのは日本くらいです。


森林の間伐は、生態系の回復になり、山村の活性化に繋がり、花粉症対策にもなります。


アメリカでは、シェールガス開発が進み、天然ガス価格が低下したことから、それまで電源の半分を占めていた石炭火力を、天然ガス火力に代替した結果、2012年のアメリカ全体のCO2 排出量が過去20年で最低となりました。


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正直申しまして、私自身のパラダイムが転換するような内容ばかりでした。

ソーラー発電があまりにもコストが高いことから、買い取り価格を20円にしてもソーラー関連の会社がどんどん破綻しています。

そして、ソーラー関連は中国資本が多いので、ソーラー発電に税金を投入することは、私たち日本人の血税を中国資本に横流ししているようなものです。


そのような政策を採用したのは、管政権下でのことですが、(事実を認識しているはずの)現政権も相変わらず続けています。


森林の間伐は、花粉症対策として最も有効であるにもかかわらず、コストがかかるからやらないというのはおかしいと思っていました。

間伐にかかるコストより、花粉症で悩む人たちの労働力低下や薬代等を考えると、国民的コストははるかに大きいはずでありましょう。

それどことか、上記のような大きなメリットまであるとのことです。


本書が指摘しているCO2が地球温暖化の原因ではないのではないかという説については、私にはわかりません。

ただ、地球全体では寒冷化がすすんでいて、夏の暑さはヒートアイランド現象等が原因だという指摘は一応、押さえておきたいです。


毎度のことですが、本書を全面的に信頼しているつもりは毛頭ありません。


ただ、再生可能エネルギー絶賛の声があまりにも高い中での反論として、本書の指摘を取り上げないのは不公平でしょう。


なぜかベストセラーになっていない本書です。


理由はわかりませんが、一人でも多くの方々がご自身なりの判断を下すためには、マスコミが大きく取り上げている意見に対する反論材料が必要だと考えます。


すべての方に、強く強くお勧めしたい一冊です。



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