デール・カーネギーの「人を動かす」の中に、「イエスと言わせる」という項目があります。
それによると、人間は一度「ノー」と言うと体全体が緊張して守りの姿勢に入ってしまうそうです。
それに対して、一度「イエス」というと体の緊張が解けて心が開いて相手の言葉に耳を傾けるようになるそうです。
(記憶に頼って書いていますので、多少のニュアンスの違いがあるかもしれませんが、ご容赦下さい)
ある銀行の窓口で、必要記入事項を書こうとしない客がいたそうです。
賢明な銀行員は決して
「書いていただけないと口座は開設できません」
と規則を縦にとるようなことはしませんでした。
銀行員は客に向かって次のような会話をしたそうです。
「万一、お客様が亡くなられた時、財産を一番大切な人に譲りたいと思いますよね?」
「イエス」
「そのようなとき、私どもがあなたの財産を大切な人にスムーズにお渡しできれば好ましいですよね?」
「イエス」
「この部分に記入していただければ、万一の時にスムーズに財産をあなたの大切な人にお渡しできます。ご記入いただけますよね?」
「イエス」
まさに、北風と太陽のような話ですが、これは日本での人間関係についても極めて効果的に使えます。
本書を読んだのは、私が銀行で個人営業をやっていたときでしたので、何とか営業に使えないかと頭を捻ったものです。
そこで顧客の所を尋ねると最初に天候の話をすることにしました。
「今日はいいお天気ですね?」
「そうですね」
「でも、寒くなりましたね」
「ええ、今朝はずいぶん冷えました」
最初の肩慣らしとして、この2つの当たり前の話題だけで「イエス」を二つ獲得できます。
弁護士になって、市役所で法律相談を担当していた時には次のような出だしでした。
「鈴木さんどうぞお入り下さい」
「はい」
「お待たせしました。ところで今日は寒いですね~?」
「本当に寒くなりました」
「ご相談内容は、お書きいただいた用紙によると相続とのことですが?」
「はい、そうなんです」
最初の「はい」は除いても、相談に入る前に「イエス」を二回言ってもらってました。
せっかく市役所まで足を運んでくれて、相談を受けるための抽選に当たって、順番待ちをしてくれた相談者です。
せめて、気持ちよく相談していただきたいと考えたというより、銀行員時代の癖だったというのが正直なところでしょう(笑)
しかし、おかげさまで、多くの相談者の方々から強く信頼していただけたのは確かです。
職場などの人間関係に悩んでおられるあなた!
是非、「イエス」を言ってもらうところから話を始めてみましょう。
人間関係が劇的にいい方向に変化するはずです。
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宣伝です。恐縮です。
本ブログの内容は書いていませんが、もっと役立つことを目一杯書きました。
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