今回は、「ニッポン社会入門」(コリン・ジョイス著 NHK出版)をご紹介します。


著者は日本在住のイギリス人記者です。


これまで、本書以外に外国人記者などが日本や東京について書いた書籍はそこそこあります。

いずれも日本に対して好意的な書き方がされており、本書もご多分に漏れず日本に対して好意的な姿勢で貫かれています(時々、批判はありますが)。


では、本書の著者は日本のどこに着目したのでしょう?


本書全体から窺える、著者が日本の美点と感じている点を私なりに挙げてみると次のようになります。


街に清潔な銭湯があるように、日本はとても清潔な国だ。


自転車を一生懸命修理してくれる自転車屋さんや栓抜きをくれる酒屋さんのように”ジェントルマン”が多い。


折り紙の発祥地にふさわしく、細かな工夫がなされている商品が多い。


逆に、日本を不快と感じるのは次のような点です。


個々人だとマナーを守るのに、大勢になるとマナー違反を平気でやる。


公園や古い建物がなく、ネオンだらけのように雑然とした街並みが多い。


そして、著者は日本とイギリスは全く異なった国だと断言しています。

大陸から少し離れた地形などから「似ている」という人もいるけど、社会としては全く似ていないそうです。


イギリスの食事は美味しくないといわれているが、それも全くの誤解であって、イギリスにあるテスコというスーパーを見れば、品揃えの良さや価格の安さなどで日本のスーパーよりはるかに優れているそうです。


私が著者の考えに強く同意したのは、銭湯の素晴らしさです。

特に、最近のスーパー銭湯は安価であるにもかかわらず、露天風呂、電気風呂、サウナ、水風呂のように、とても充実していて清潔です。

清潔好き(?)の私にとって天国のような場所です。

近所にスーパー銭湯がないのがとても残念です。


学生時代に読んだ「イギリスと日本」(森嶋通夫著 岩波新書)は、イギリス人と日本人の精神構造の違い(個々人の効用関数が独立しているか、他人の効用関数に影響されるか等)などが書かれていました。


同書で指摘されていた、個人の独立した満足感を持つイギリス人から見た、他人との比較で満足感を感じる日本人という観点で読むと、「なるほど」と納得する部分が多いと思います。


日本、はたまた東京というものをソト視点で見てみたい人には強くお勧めの一冊です。



「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)/日本放送出版協会
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今、アマゾンで確認したら英語版の原書も出ています。

英語学習者にとってはたのしめる教材ではないでしょうか?