私は、離婚事件や不倫に関する事件は、相談も含めればものすごい数をこなしています。

受任件数が常時200件くらいありましたから(平均的弁護士の10倍以上 弁護士白書)、当然の結果として離婚事件や不倫事件も多くなった訳で、私は決してその方面が専門の弁護士ではありません。


数年前、当時の「週刊現代」の編集長さんに「リコ弁」(離婚弁護士)というありがたいニックネームをいただきました。

もっとも、当時は中学受験生の親御さんの相談を同誌で連載しており、かなりの高評価をいただいていたはずなのですが・・・(^^;)

その折の連載でお世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

相談を伺った親御さんのお子さんたちのほとんどが第一志望に合格したときは、とてもとても嬉しかったです。


それはさておき、数多く事件や相談にあたっていると”共通性”というものを見いだすことができるようになります。


妻の不倫の”共通性”は、大きく言ってしまえば「夫の浮気に比べて断然ばれにくい」という点です。


夫が浮気をすると普段と行動が異なるようになることが多く、それを見た妻が「もしかしたら」ということで携帯から財布の中まで徹底的に調べ上げます。


それでも証拠が出ない時にはカマをかけて自白させたりします。

(この例は「ためしてガッテン」や「朝ズバ」で実践しました。ただ、目的はいずれも夫を懲らしめるというもので、いかにもテレビ番組だな~と思いつつ解説してました・・・下手すると血の雨が降る恐れがあるのに)


ところが、妻は証拠など絶対に残しませんし、家庭での態度も普通です。

「夜の夫婦生活」も平然と応じているそうです(不倫された夫曰く)。

こういう意味では、故渡辺淳一先生の「失楽園」や「愛の流刑地」のヒロインとは違います。

ほとんどの夫たちは不倫をするとどうしても平常心を失うようですが、ほとんどの妻たちは不倫をしても平常心を失わないのです。


じゃあ、どうして妻の不倫が発覚するのだ?


という疑問が湧いてくることでしょう。


あくまで私の経験知の範囲内ですが、夫婦の離婚話が持ち上がってから妻の不倫がばれたというのが100%でした。


妻の恐ろしいところは、自分が不倫をしていても夫の不倫や夫婦生活上のアラを探して、離婚でできるだけ夫から搾り取ろうとすることがあるのです。

妻から莫大な離婚給付を請求されて、困り果てた夫が「窮鼠猫を噛む」がごとく妻のアラ探しをしていると、興信所が妻の不倫を見つけたり子どものDNA鑑定で夫の子でないとわかったり、はたまたあまりに夫が気の毒になった妻の友人がばらしたり・・・と、通常時であれば見過ごしている部分があぶり出されるのです。


今の日本の状況では、幼い子どもを抱えて暮らしていくのは妻にとって極めて厳しいですので(母子家庭の多くの割合が貧困状態に陥ります)、離婚時にできるだけ夫から搾り取ろうとするのは理解できます。

しかし、子どももいなくて安定した仕事を持っている妻までもが無謀な搾取をしようとして、自らの不倫が暴露してしまったという例もあります。


そのあたりの女性心理は理解できませんが、唯一私の経験則で言えることは、離婚時の妻の気の緩み(?)とそれに反比例する夫の警戒心の相互作用で「妻の不倫」が暴露されるということです。


まあ、このような目で世間を観察すると、夫たちの無防備さには驚くばかりです。

「うちの家内に限ってそんなことにはなるはずがない」とタカをくくっていますから。

もっとも、それはそれで平和なことだと私は思っています。

仮に、自分の妻が不倫をしていたとしても、その事実を全く知らなければ夫にとっても周囲にとっても「なかったこと」と同じなのです。

離婚問題に至らなければ、そのまま幸せな老後を迎えることができるかもしれません。


真実を知ることは、決して幸せであるとは限らないのです。



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