今回は、「ビジネスマンのための「行動観察」入門」(松波晴人著 講談社現代新書)をご紹介します。
最近、ビジネス社会で「行動観察」の専門家に依頼をする企業が多くなっているそうです。
行動観察が注目されている理由は「経験を科学する」ことが重要になってきているからです。
従業員や顧客の行動を観察することによって、より効率的な仕事の仕方や(顧客)からの売上を上げる方法を見つける等の目的があります。
つまり、「「行動観察」は、「現場に行って人間を観察をして」「ソリューションを提供する」ことが重要になります。
本書では、ワーキングマザー、イベント会場、スーパー銭湯、営業マン、オフィス、飲食業、顧客の名前を覚えているホテルマン、工場、書店の9項目について「行動観察」を行い、分析をして、ソリューションを提供するというプロセスを具体的に説明しています。
それぞれにつき1点だけ例示しますと、以下のようなものです。
ワーキングマザーは、男が考えているよりはるかに多忙であるにもかかわらず、家事に対する報酬(感謝の気持ち等)が得られない。
イベント会場では、入り口ではなく出口に人を配置する方が入りやすい。
スーパー銭湯では、サウナの中に生ビールの広告を貼ると売上がウンと上がる。
考える仕事をするオフィスでは、週に2回、外部の騒音をシャットアウトして集中時間をつくると仕事が効率化する。
一流の営業マンは顧客との信頼関係がしっかり築かれており、聴き役に回る。
飲食業では、熟練者が高度な調理に徹する等、分業体制を作った方がいい。
5000人の顧客の名前を憶えているホテルマンは、ストーリー記憶(人と会社をリンクさせる)をして、記憶に関する心理学に適した方法で憶えるための努力を怠らない。
工場の単純作業で従業員が疲れるのは「体」ではなく「心」。
書店にスタンドバーを設置して「立ち読み」を楽にさせる。
個々の詳細を知りたい方は、本書をお読み下さい。
挙げた例よりももっと重要な「観察」や「ソリューション」が提起されいる場合も少なくありません。
具体的な「行動観察」の作業は、対象に長時間張り付いてしっかり観察し、ソリューションについても試しにやってみる等、かなり地道な作業が必要になります。
われわれ素人が、ほんの少しの時間でシャーロック・ホームズのように観察してピタリと当てることができるような芸当ではありません。
もっとも、毎日同じオフィスに詰めているような管理職が、オフィスの改善点を見つけたりするヒントとしては貴重なノウハウです。
企業の経営者や管理職のように、効率の改善や営業成績のアップを考える立場の人には、是非目を通していただきたい一冊です。
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